どこでもビジネスアナリシス 4

4 日常のビジネスアナリシス

4.1 日常生活における計画とビジネス計画の類似性

日常生活においても、短期、中期、長期的な計画を持っています。 その中でも身近なものでは今日一日の予定や、週末や夏休みの家族旅行であり、大きな話題では住居の新築計画などがあります。 そのほかに、子供の教育や将来計画、さらに昨今の重要な課題として働く両親と幼児の保育、育児計画があり、高齢者の介護の問題も対象となります。 さらに、転職の問題や、勤務地の変更にともなう転居の問題も発生します。 このような計画はビジネスにおける諸計画策定との類似性は高く、旅行計画では目的の設定、日程計画から訪問先、旅行ルート、宿泊場所の選定、目的先での行事など、その計画項目の構成はビジネスにおける旅行とほぼ同じです。 住宅の建設は、場所の利便性、目的との整合性、資金の調達、投資効果の評価など、企業に於ける設備投資との類似性が大きく、その実行行動の構成は本質的に同じである事項が多いと言えます。 さらに、子供の教育計画は企業に於ける人材育成計画との類似性は容易に類推できます。 幼児の保育計画は、家族の勤務状況から始まり、関係家族の支援、あるいは地元行政の支援機関や施設の利用可能性、優遇措置、環境構成などが企業活動における事業展開時の可能なリソース配分のマネジメントに類似しています。 従業員の地域における福祉支援計画を考えますと、全く同様の問題解決が日常生活と、ビジネス問題の両者に共存している場合もあります。 論理的にどのような行動の類似性がどこにあるかの理解は外見上の判断に頼らず背景環境に基づく分析と適用可能性などを通して評価判断する必要があります。

 

4.2  ビジネスアナリシスを日常生活から学ぶ

 

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このような家庭における日常的な問題は、ときにはうまくいかないこともありますが、家族の経験や知恵と判断により適切に処理されているにもかかわらず、ビジネス上の問題においては、解決されないまま放置されていることが多いのはなぜでしょうか。そこには決めなければならないという緊張感と責任感、意識と認識の問題の相違があると思われます。 組織では自分がやらなくても誰かがやってくれるだろうという甘えの構造もありますし、自分がすぐに困るわけではないという無責任な判断もあるでしょう。 日常のビジネスの問題解決をもっと体系的に考える習慣があるならば、常に迅速な判断と実行が可能であるはずです。 その前に、ビジネスにおける判断と意思決定を、家庭における日常的問題解決の視点から学ぶという意識が必要ではないかと思われます。 同じことができるはずです。 このような日常の問題解決に難しい理論は何も使われていません。 うまくいかなければ他の方法を試してみることもあります。私たちは日常の問題を解決しながら生活をしています。 同じ発想でビジネスの日常問題に対応すればよいだけなのです。 そこに整理された手法を適用していけばもっと容易に解決できるでしょう。 日常生活では当事者が責任者であることが殆どであり、その都度解決していかなければ明日がないという危機感、あるいは決めざるを得ない事情があります。 一方、組織における問題解決はしばらく先送りしていても時間が過ぎていく、あるいは誰かが解決してくれるのではないかという意識が働き、危機感に乏しいことが意思決定を遅らせ、かつ曖昧にしている要因のひとつになっています。 その間に状況をさらに悪化させてしまうことも珍しくはありません。