どこでもビジネスアナリシス 5

5 類似性のパターン

5.1 選抜試験と資格試験

私たちは種々な問題を抱えながら日々を過ごしています。 それらの問題をどのように解決するかはいずれもビジネスの世界の問題解決との類似性や共通性を持っています。 例えば殆どの人は一生の中で何度かの試験を受ける機会があります。 入学試験や就職試験は典型的な例ですが、そのほかに、自動車運転免許証の取得は殆どの人が受ける代表的な例です。 難関と言われる試験も数多くあります。 これらの試験には、二つのパターンがあり、その一つは選抜試験であり、もう一つは資格試験です。 選抜試験では、競争者がありその中で限られた人数の合格枠の中の順位に入らなければなりません。 ここでは競争相手に勝つための戦略も必要です。 選択できる場合には受験対象のレベルを選択することも必要になります。 資格試験では合格レベルの基準を満たすことが基準であり、成績の絶対値の取得が目標となりますが、ここでも自分の能力に応じたクラスの選択が可能な場合があります。 1級は難しいからまず2級を受けようという選択です。 ただ、選抜試験においても単なる得点の順位ではなく、特別な能力の評価による選抜もあり、その場合には試験の性格は資格試験に近いと言えます。 昨今の入社試験では個人の特殊な能力や個性を評価する傾向が強くなり、合否の判定が単純な試験成績の比較ではない場合が増えています。 これらの試験はそのパターンによって合格のための戦略、即ち問題解決の方法が異なります。

ビジネスにおける合否の判定は、認可の取得のような、合格、不合格という判定もありますが、広く解釈するならば、業績の良否、事業の成功か失敗かという評価の問題にもなります。 ビジネスにおける組織の評価は多様ですが、企業業績や能力の問題が多く、資格試験に近い傾向があります。 例えば特定の基準を満たしているか、国際基準に合致しているかなどのほか企業の業績そのものも評価の対象であり、企業の格付けや株価なども評価対象と言えます。

5.2 直接的な類似性と本質的な類似性

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個人の試験においては、受験する対象の選択に始まり、合格レベルの認識と、それを越える知識や能力の自己評価が必要です。 選抜試験では、競争相手の能力レベルの評価や合格ラインの想定なども必要です。 自分の能力が不足する場合には、不足する分野の強化をはかったり、合格可能なレベルへ受験目標を下げたりして、合格のための努力をします。 また、出題の予想や過去の出題研究も必要になります。 このような準備プロセスとその実行過程は、ビジネス組織の場面においても全く同様であり、そこで行われる調査や認識、評価、対応手法も類似していますので、日常生活とビジネスとの直接的な類似性があると言えます。

一方、問題を基本的な視点から見ますと、本質的な類似性があると考えることができます。 個人の日常生活における試験の合否とビジネスにおける事業の成否との類似性の比較で言うならば、個人の自己能力、現状認識、周囲環境、対象の選択、対応戦略、問題解決の方法、実行プロセス、などの構成と、ビジネス組織における組織能力、経営環境、市場の選択、製品戦略、事業戦略、実行計画、など類似の構成要素の認識と評価や判断ができますので、この両者は本質的な課題レベルにおける類似性があると言えます。 これをさらに展開すると、ビジネスアナリシスのプロセスパターンはすべての問題に共通な類似性があることに行き着きます。

ここで述べたいのは、日常生活の種々な出来事は、表面的な現象は全く異なっていても、ビジネスにおける問題と本質的に殆ど同じであって、その解決にはビジネスアナリシスと同等の手法によって処理されていると言うことであり、逆に言うならば、ビジネスアナリシスとは、日常生活における意思決定や問題解決の延長上にあって、何ら難しいことをやろうとしているのではないということです。

 

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