3.最近のBRMS(ビジネスルール管理システム)の特徴と利点
3.1 BRMSとは
ルールエンジンはビジネスルールを実行するフレームワークまたはライブラリです。
そして、BRMS(ビジネスルール管理システム)はルールエンジンを含むビジネスルールを管理する環境で。ビジネスルールライフサイクルを多くの側面からサポートしてくれます。
- ビジネスルールの可視化
- ビジネスルールの編集
- ビジネスルールの検証
BRMS導入の代表的なメリットは、頻繁に変更されるビジネスルールをアプリケーションコードから切り離し管理、実行してくれることです。具体的には、
- 複雑なビジネスルールの判断を手助けしてくれますから、意思決定プロセスを自動化し、アプリケーション保守のコストが大幅に低減することが可能です。
- ビジネスルールの可視化してくれるので、業務担当者とISエンジニアのコミュニケーションの大幅な改善とより正確なビジネスサービスが実現できます。
- 運用時にダイナミックにルールを変更できるので、業務担当者(ビジネスパーソン)がアプリケーションの意思決定ロジックを直接実装、変更できます。(そのためのExcelツールなど)
- その結果、マーケットの変化に迅速に対応することが可能となります。
- 開発の簡素化/効率化が実現(仕様を決めればほとんどそのまま実装)します。
つまり、BRMSを活用すれば、情報システムは急速なビジネス変化に対応したビジネスサービスを提供することが可能になるというわけです。
3.2 BRMSの具体例
いくつかのビジネスルール管理システム(BRMS)を見てみます。
ブレイズコンサルティング社資料より
BRMSの代表的存在のProgress社のCorticonシステムです。業務プロセスから業務ルールを抽出し、外部で一元管理することを図示しています。
アーネスト・ビジネスソリューション社資料より
韓国のイノルールズ社のInnoRulesです。同様にプログラム(アプリケーションコード)からビジネスルールを外にだし管理することを図示しています。
このツールは強力なルールエンジンが特徴です。日本でもポピュラーなソリューションです。
韓国のサムソンが採用し話題になっているツールです。
日本IBM社資料より
IBMのツールです。ビジネスプロセスからディシジョン・ポイント(ビジネスルール)を抽出している図です。
BRMSも各社から各種ツールが販売されています。本連載はBRMSの比較をすることが目的ではありませんから、このくらいにしておきます。
ツールの比較表は日経コンピュータ誌(3月7日号)を参照ください。
3.3 最近のBRMSの進歩 (BPMとの組み合わせ)
さらに、最近の傾向としてBPM(ビジネスプロセス管理)との組み合わせが可能になってきました。
ブレイズコンサルティング社資料より
Corticonの例ですが、BPM/BPMインテグレーションをうたっています。
ワークフロー管理システムで、従来担当者の判断で行っていたものをBRMS(ルールエンジン)と連携することにより、75%の工数減が達成されたようです。
Red Hat社資料より
さらに、上記例はBPMN(Business Process Management Notification)との組み合わせです。
BPMNはBPMの標準的表記法でコードの自動生成ツールが用意されています。
プロセスをBPMNで記述し、ビジネスルールを別出しておけば、BPMNでアプリケーションコードが自動生成されルールはBRMSがそのまま実行してくれることになります。そうすると超高速開発ということが実現でえきることになりそうです。
Red Hat社資料より
上記ツールは、仕様を定義すればそのまま実装が可能ということを示唆しています。
さらに運用時におけるルールの変更は、情報システムのエンジニアでなく業務担当者で対応できるというと、まるでいいこと尽くしという感じです。ではこのBRMSに大きな問題・課題はないのでしょうか。
実は、大きな課題が残っています。それはビジネス戦略との関係です。