13 手法や技術は使い方次第
13.1 問題解決は手法と技術の組合せ
ビジネスアナリシスには多くの手法や技術が紹介されていますが、どのような問題で、どのように使うかの具体的な手順は書かれていません。 ビジネス環境はそれぞれ異なるので一般的な解決方法はないと言えますし、解決手段を構築することがビジネスアナリシスなのですから一般解がないのは当然と言えます。ただ、ビジネスアナリシス実行全体の流れの概念はほぼ同一だと言えます。 まず何をしようとしているのかを明確にすることから始まります。それにより現状調査をしたり、状況整理をしたり、分析をしたり、原因を追究したりしてゆきますが、それらの過程で最も適した手法や技術を選択して組み合わせてゆきます。大切なのは、同じ手法や技術もその組み合わせと使い方でいろいろな問題解決に対応できるということです。
13.2 高度な技術が高度な問題解決ができるとは限らなない
手法や技術が限りなくあり、その中には非常に単純なものから論理的に高度なものまでが含まれますが、それらの利用価値は高度であるかどうかとは全く関係ありません。 問題解決に利用される多くの手法は単純でありわかり易いものであって、そのような手法や技術の組合せで殆どのビジネスアナリシスは実行されています。言い換えれば高度な技術を用いれば高度な問題解決ができるとは限らないということです。むしろ簡素な手法で高度な問題解決をするべきでしょう。 むしろ実行のプロセスが大切なのです。 高度な手法が適用できる場面では、もちろん大いに利用するべきです。 同じ手法でも使い方によってその結果は全く異なります。
13.3 複雑な問題は単純な問題の組合せ
解決しなければならない問題にはその構造が非常に複雑なものがあります。複雑とは問題の現象が複雑なもの、原因の構成が複雑なものなどがあります。 そのような問題をどのように解決していくかはまず問題を分析して、単純な要素に分解することです。問題の発生要素が絡み合って互いに因果関係になっていることもありますが、とにかく単純な問題に分解することは可能なはずです。複雑な問題を同時に解こうと思っても解けません。単純な問題に分析して一つずつ解いていくことが方法です。 自分の努力だけでは解けない問題がありますが、問題の構造は分解できるはずです。
13.4 処理対象の大きさへの対応
問題の規模が巨大なことがあります。これは複雑な問題と異なる対応が必要です。問題の構造の複雑さではなく対象が大きいだけであって構造は簡単な場合です。 小さな単位に分解して実行し、後刻組み合わせることが一般的です。 例えば全国一斉の調査については全体を同時に解くことは困難なので、地方別に調査を実施して、最後に全国を合算することなどの例です。 ただ、規模が大きくなるとその問題構成が複雑になることが多く複雑性と規模との両者の問題がからみあうことが良くあります。地方によって問題の内容や原因が異なる場合などですが、複雑性と規模の両者から適切な分解により単純な問題に分解して対応しなければなりません。
13.5 発想や視点を変えれば新しい方法が生まれる
手法や技術には得意とする能力があると同時にいろいろな使い方があります。その能力や使い方をどのように組み合わせ、どう使うかによって種々な問題を解くことができます。手法や技術利用の発想や視点を変えることにより無限の可能性が生まれます。 まず手法や技術の本質的な機能や能力を理解することが大切です。