どこでもビジネスアナリシス (19)

19 得意分野を磨く

19.1 多様な分野の問題に精通することは困難

ビジネス上の問題は多岐にわたり、同様にその解決には多様な知識や手法が必要になります。 それらのすべての問題に精通しているということは困難でもあり、殆ど不可能でもあります。 問題解決は自分一人で実行する必要は全くありません。問題の本質を理解して、どのような解き方ができるか、そのためには何が必要であろうかなどということが判断できることが第一の課題です。その解決の手法に自分に実行の能力がなければ実行できる人を見つけて依頼する事ができればよいのです。ただ、依頼した相手に対しては解決したい問題の本質と、解決しようとする目標、実行の環境などを明確に説明し、議論の上納得を得て依頼することが必要であって、決してすべてを頼むと放り出してはいけません。あくまでも自分んお責任で実行するという認識が必要です。

19.2 問題解決の本質は同じ

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種々な問題において、それぞれ異なる解決策がありますが、多くの場合、類似の問題における解決策は類似であると言えます。それは問題発生の原因となる要因が類似であるからです。 注意しなければならないのは、類似の問題とは何かという判断です。 問題を外見や発生している現象だけで判断するととんでもない異なる問題であることがあります。何をもって類似の問題であると判断するかが大切です。すこし問題を分析してみないとわからないかもしれませんが、問題を構成する要因が類似であれば類似の解決策を適用することができるでしょう。類似とは同じではありません。同じ性質をもった手段とでも言えばよいでしょうか。一つの考え方のパターンです。例えば、組織構成を変える、コスト構造を変える、処理プロセスを変える、などです。異なる事業分野や業務分野で発生する種々の問題の構成は表面的現象では異なっていても、その本質はいくつかのパターンのどれかに属するという視点から考えると類似であるとがわかります。

19.3 一つの分野を徹底的に経験する

何か一つの分野に精通することは非常に有効であり貴重です。 事業分野であっても業務機能であっても良いのですが、多くの異なる分野で発生する現象は、精通している分野の知識や経験から殆ど類推することができますし、正しく判断できます。ビジネスシステムの中に、とんでもない処理や特殊性はもともと殆どありませんから自分が精通している業務の中に、何らかの形で包含されています。新しい事象であっても、知識と経験の組合せからどのような現象であるのかの判断が容易にできるものです。さらに良いことは、何がわからないのかが分かることです。その点に焦点を絞って追究すればよいことになります。 一つの分野を徹底的に経験することは、理解力や適応力を向上させることになり、結果として異なる分野を理解する能力を得ることと同じことになり、自ずと解決策が見えてくるようになります。もっとも、異なる分野の具体的な技術、習慣、法規などは当然独自に学ばなければなりません。

19.4 我田引水にならないように常に新しい視点から見る習慣を

何らかの手法や技術に習熟してきますと、とかくそれらを利用したくなるものです。得意分野からの類推で多くの異なる分野の解決を試みることは効果的ですが、問題発生の背景が異なることを忘れないようにすることが重要です。種々な視点から解決策を見つけることは重要なことですが、自分の得意技を無理にはめこもうとすると解決はできても最適解から遠いものになってしまう危険があります。 得意分野の経験を活かして、異なる視点から問題解決をすることと、対象分野の習慣を大切にすることとのバランスを維持することが大切です。