知識エリア【ビジネスアナリシスの計画とモニタリング】
この知識エリアは、ビジネスアナリストが行う下記の活動に関する計画とモニターのやり方について記述します。
- 変革イニシアチブにおいて横断的に利用される、ビジネスアナリシスのアプローチの定義
- 変革の影響を受けるステイクホルダーとの有効な関係を確立し、維持するためのアプローチ
- ビジネスアナリシス情報を格納し、アクセスする方法の識別
- ビジネスアナリシス情報の変更の管理方法の決定方法
- ビジネスアナリシス作業の決定、および承認の仕方の識別
- ビジネスアナリシス作業に関する優先順位をどのようにつけるかの定義
- ビジネスアナリシス作業の進行および質を評価するために使用する手段と方法を定義
「ビジネスアナリシス情報」は聞きなれないかもしれません。バージョン3では、従来の要求に加えて、ニーズ、デザインをまとめたものをビジネスアナリシス情報と称します。バージョン2の表現で言えば、「要求を格納しアクセスする方法の識別」、「要求の変更の管理方法の決定方法」となります。バージョン3では要求のみならず、デザインまで扱うことになった影響です。また、要求の前の「ニーズ」も大切なビジネスアナリシス情報の一部という事です。
つづいて、各タスクの概要を簡単に解説します。
【ビジネスアナリシスのアプローチを計画する】(清水の試訳)
- ビジネスアナリシスの方法論を生成あるいは選択したり、ビジネスアナリシスの個々のアクティビティ、タスク、成果物のプラニングに関する計画を記述する。
【ステイクホルダー関与を計画する】(清水の試訳)
- どのステイクホルダーが変革に関連し、ビジネスアナリストが彼らから何を必要とし、彼らがビジネスアナリストから何を必要とするのか、そして協働する最良の方法を記述する。
【ビジネスアナリシス情報マネジメントを計画する】(清水の試訳)
- ビジネス・アナリストによって開発された情報(要求とデザインを含む)がどのように捕捉され、格納され、そして長期使用のために他の情報と統合される方法を定義する。
【ビジネスアナリシスのガバナンスを計画する】(清水の試訳)
- ビジネスアナリシスのクリティカルな部分である組織のガバナンス機能を支援する。ガバナンスは、決定が適切に一貫して下され、意思決定者が必要とする情報を持っていることを確実にするプロセスに関係する。プロジェクトにおいては、ガバナンスはステアリングコミッティまたは変更管理委員会(CCB)によって行われるかもしれない。しかし、他のコンテキストでは、プロダクトまたはプロセスのオーナー、アーキテクチャー・レビュー・ボードあるいはエンタープライズの役員会によって行なわれるかもしれない。要求マネジメントはガバナンスプロセスの一部でである。しかし、ガバナンスは、さらに適切なリスクマネジメントおよびリソースのアロケーションを確実にしようとする。
【ビジネスアナリシスのパフォーマンス改善を識別する】(清水の試訳)
- どのように、ビジネスアナリシスの仕事を、管理し、記述し、そしてモニタリングするかを記述し、コミットメントを確実に満たし、継続的学習および改善の機会が実現されることを確実にするために行なわれる。
知識エリア【ビジネスアナリシスの計画とモニタリング】におけるBAコアコンセプトモデル
コア・コンセプト | ビジネスアナリシスの計画とモニタリングにおいてビジネスアナリストは; |
変革(Change):組織的に制御された変革(トランスフォーメーション) | ビジネスアナリシス情報への変革がどのように要求され認可されるか決める責任がある。 |
ニーズ:ステークホルダーにとって潜在的価値のある問題、機会、または制約 | 変革イニシアチブに適切な量の分析を供給するビジネスアナリシスアプローチを選ぶ。 |
ソリューション:コンテキストにおいてニーズを満たす具体的な方法 | 要求以上のことを思い描き、彼らの仕事のおかげで、どの程度ソリューションのインプリメンテーションが成功したかを評価することにより、ビジネスアナリシスのパフォーマンスを診断する。 |
価値:コンテキストにおいてステークホルダーにとって重要なもの | ビジネスアナリシス活動がステイクホルダーに十分な価値を確実に生み続けるために、パフォーマンス分析を行なう。 |
ステークホルダー:変革又はソリューションと関係を持つグループまたは個人 | ステイクホルダーの特性を理解するために、ステイクホルダー分析の結果を利用し、適切に計画を選択する。 |
コンテキスト:環境のなかで変革を包含する部分 | 効率的なビジネスアナリシスアプローチを深めるために、分析中のコンテキストについて確実に十分な理解をする。 |
下図はこの知識エリアでのタスク間のインプット、アウトプットの関係をデータフロー図で表したものです。
緑色の吹き出しは「ガイドラインとツール」です。バージョン2ではインプットとして扱われていました。新しいバージョンではインプットはアウトプットに変換されるものだけに絞られて、参照されるだけで変換されないものはガイドラインという表現になりました。
[図のクリックで拡大表示]
上図の黄色の大きな箱「ビジネスアナリシスのアプローチ」は、
- 3.1 ビジネスアナリシスのアプローチを計画する
- 3.2 ステークホルダーの関与を計画する
- 3.3 ビジネスアナリシス情報マネジメントを計画する
- 3.4 ビジネスアナリシスのガバナンスを計画する
上記4つのタスクのアウトプットで、タスクの実行の都度改訂されます。
このアウトプット「ビジネスアナリシスのアプローチ」が他の知識エリアの多くのタスクのインプットまたはガイドラインとなります。
バージョン2では「ビジネスアナリシス活動を計画する」というタスクがあったのですが、このバージョン3では、「ビジネスアナリシスアプローチを計画する」タスクに統合されたようです。
上図を作成してわかるのは、パブリックレビュー版なのでまだインプット、アウトプットの関係が完全には整合していないことです。そのためもあり、これ以上詳細な解説はしません。詳細はいずれ、変更になりそうだからです。