どこでもビジネスアナリシス (23)

23 問題解決の形態

23.1 進行阻止と危険回避

問題が発生した場合にはまずその進行を止めることが重要です。 問題が経営組織や社会環境に対して危険を及ぼすような現象である場合には労力を惜しまず現象の進行や伝播を止めなければなりません。即時の判断が必要な場合もあります。そのためには発生原因を突き止めることが必要ですが、それを待つことができない時には取りあえず起こっている現象を消し止めます。 火災が発生した時にまず消火することと同じです。不良製品が見つかったらまず出荷を停止し、利用を阻止する警告を発し、市場から回収します。それが危害を与える可能性があれば、なおさらです。 何らかの目的がない限り、ビジネスにおいて赤字を生む商品の出荷を続けるよりは、販売を停止して被害を食い止めることが必要です。販売初期において知名度を高めるために赤字でも製品を出し続けることがありますが、これは目的を持った戦略です。 将来のプラスのための戦略です。

23.2 解決可能性の判断と戦略の設定

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問題の進行阻止をはかった後にどうするべきかを決めることは最も重要な判断です。一般には問題を解決する手段を投入して、新たな挑戦をします。ここで重要なのは、本当に問題が解決できるかの評価です。問題解決は二つの場面があり一つは自己組織の中の改革、他の一つは競合相手との競争です。自己組織内の改革では適切な分析に基づく計画と実行能力があれば解決できる可能性が高いと言えます。第三者との競争では、相手の強さに打ち勝つ能力がなければ勝つことができません。こちらが何らかの施策を打てば、相手はそれに呼応して新たな手段で対抗してきますので、さらに新たな対応が必要です。このような競争では消耗戦になることは珍しくありません。最後に勝つ力があるかどうかの判断を早期にしなければなりません。そのためには、自己組織の長所と欠点を知り、相手との差異を判断することが重要です。勝ち目のない戦いは早期に回避するべきです。勝てると判断した場合には、自己の犠牲を最小にするために、早期に積極的な行動に出て決着をつけることが必要です。 

23.3 恒久処置と反撃的対応

問題の進行を止めることは取りあえずの緊急処置であって、恒久的な対応策ではありません。そのままでは再度同じ問題が発生したり、不安定な状態が続いたりします。今後どのような目標をおいて問題解決するかを判断したならば、それに向かって恒久的な対応処置をしなければなりません。自己組織内の問題であれば再発しないビジネス体制や構造にすることが必要ですし、対外的問題を含むならば相手を凌駕する攻撃的施策の実行が必要です。相手の出方を見ながら徐々に対応するか、いちどに反撃的攻撃を仕掛けるかは周囲環境と自己能力を判断して決めなければなりません。自己組織の消耗を最小にしながら戦うことも大切です。 

23.4 問題回避

自己組織内の問題でも、第三者との競争であっても、被害を最小限にして解決することが望まれます。いずれの問題解決においても、問題発生の原因の追究が不可欠ですが、原因となる状況に近寄らないことが必要です。そのためには、問題領域に近づかないメカニズムを構築すると同時に、現在どのような状況にいるかを常に検知し評価、判断するシステムを作っておくことは大切です。さらに、完全に問題領域から撤退することも有効な手段です。例えば、強力なライバルがいる事業から撤退すること、ユニークな製品やサービスへ移行する事などはその例です。また、競争相手に事業を売却してしまうことはよく実行される方法です。