どこでもビジネスアナリシス (25)

25 ビジネスアナリシスは状況の整理から

25.1 課題や状況を整理する

ビジネスアナリシスを実行するためには、今何が起こっていて、自分がどのような立場にあり、今後どうしようとしているのかをきちんと認識することから始まります。 ビジネスにおける対応行動は自分の立場だけでは選択することはできず、周りの環境との関係で判断しなければなりませんから、環境条件を良く理解したうえで、自分の現状を判断して意思決定しなければなりません。 この時重要なのは、いわゆるステークホルダーと呼ばれるいろんな関係者たちの意見や要望の理解、周囲環境の状況整理の他に、自分が持っている課題そのものの整理、そしてどう対処すればよいかの整理をすることです。自分のまわりの環境条件は総合的には一つなのですが、理解する視点によっては異なる理解に至ることがあります。解決の手段についても、その適用条件を満たしているかどうかの整理も重要であって、判断を誤ると実行不可能な選択をしてしまうことさえあります。

25.2 どのような視点から整理するか

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周囲の環境状況の整理など多くの情報を整理するには、何を鍵として整理するかという問題があります。現実に起こっていることは一つであっても、その整理の視点が異なれば違う姿が見えてくることさえあります。整理をするということは、種々な判断をし易くすることにつながります。 多くの情報が雑然と存在したのでは、そこから現実の姿を読み取ることは至難の業になります。今問題となっているテーマについて、何が起こっているのか、どんな障害があるのかなど、いくつかの視点に分類して整理すれば、情報の全体像がはっきりと浮んでくるはずです。 特徴的な現象があればその周辺状況をさらに詳細に整理します。原因の追究であれば疑わしいと思われる事象の周辺を種々な視点から整理することが良いでしょう。人の問題、組織の問題、競合の問題、市場の問題、規制の問題、技術の問題、マネジメントの問題、等々いろんな整理の視点があります。 

25.3 整理の仕方で異なる結論も出る

状況を整理する段階では、状況の認識に客観的かつ公平でなければなりません。何らかの先入観や意図をもって状況情報を整理するとその方向に回答を誘導するような片寄った情報が集まってしまいますし、その内容の理解にも影響を受ける恐れがあります。 問題解決は思いもよらない原因が隠されていることも多く、そのような問題点を見逃さないためにも総べての情報を正しく集め、客観的な視点から状況整理をすることが必要です。 状況整理の方法を誤ると異なる結論に解決策を導いてしまう恐れすらあります。分析や評価は、正しい情報の集合に基づいて判断されなければなりません。

25.4 整理の方法と問題の全体構造の把握

問題解決をするためには、関係する周囲環境の全体像が見えなければなりません。その中で、問題解決に関連する個々の状況を知ることが必要です。整理された情報を理解しやすい形で可視化することが大切です。情報の分布と関連を理解しやすい形で概念化することが役立ちます。情報や状況という抽象的なものを形のある構造にモデル化して表現できれば種々の現象の関連や原因の追究のために役立ちます。いろいろな図示の方法があります。ビジネス上のいろいろな現象は相互に関連していますからネットワークをうまく表現することは有効です。多くの問題は階層構造をしています。関連を示すにはマインドマップのような表現は人間の思考概念に近く、問題分析や原因追究にも有効です。問題の構成要素を構造化して表現する習慣がつきますと、複雑な問題の構造が容易に可視化できるようになり、全体と部分の関係が容易に把握できるようになります。