どこでもビジネスアナリシス (32)

32 組織を取り巻く課題-外部環境からの課題

32.1 急速な状況変化とその対応

DSC_0329

ビジネスをとりまく種々な課題の多くは種々な形の多様な変化です。直接的な顧客や市場の変化から始まり、国の政治や経済の変化、あるいは国際情勢の変化がいろいろな形で自分たちのビジネスに影響を与えます。可能であればそのような変化を予測して事前に対応の準備をしていくことが望まれます。そのような予測など困難であるという考えが多いと思いますが、変化に対する日常の意識を持つことを欠かさない習慣を育てることにより多くの予測と準備をすることが可能です。原材料の高騰、市場の変化による売価の変動、国際的な売価の下落などは良くある事例ですが、予兆を捉える習慣があればかなりの危機回避が可能です。国際情勢のビジネスに与える影響などはその因果関係を日頃から理解しておくことが役立ちます。このような現象は、プラス側に動くときに見落したならば、大きな機会損失になります。状況変化はあらゆる場面で起こりますので環境の変化とその予兆に常に敏感である習性を養うしかありません。昨今のビッグデータの分析や環境変化の分析技術を活用するならば、ある程度の警告を得ることはかなり現実的です。

32.2 競合相手との競争

競合相手との競争は最も一般的な課題です。但し競争の形態はいろいろあり、最も多いのは価格競争や新技術やサービス、新製品の競争でしょう。 ただ、最近は安価であれば競争に勝てるかといえばそうではなく、製品やサービスの価値や品質と価格とのバランス、即ちコストパフォーマンスを利用者は評価しています。また、高価であってもユニーク性を好む消費者も多く、市場の思考を捉えることが鍵になります。従って、何を焦点に競争をするかの判断は重要です。

他社との競争においてあくまでも対応するかの判断は企業の存亡に関することもあり、撤退することも重要な選択肢です。 共倒れを避けるために競争先と手を握ることや相手に事業を売却してその後の損失を避けることも行われます。このような場面における戦略は自己組織の体力によることもありますが、当該事業の重要性や他の事業との関係における戦略性にもよります。事業分野においてトップでなくても、市場の大きなときには二位、三位以内であれば良いと言う判断もあります。また、長い期間にわたる老舗のように、伝統的な品質、好み、お得意様としての固定客を維持し続けることで事業を維持していくと言う考えもあります。

32.3 制度、規制、習慣

外部との関係において見落としがちなのは、事業に関係する制度や規制、あるいは業界の習慣などによる障害です。特に古い制度や規制があって、事業展開しようとすると、地域の限定、事業参入の規制、地域の風習、などにより制限を受けることが良くあります。ビジネス展開の自由競争の視点からは良い発想であっても、過去の既得権により保護されていて、参入や競争が規制されていることが珍しくありません。公的な制度や規則の場合にはそれらの廃止を訴えていくしかありませんが、交渉や権利の買い取り、あるいは相手の不利益や損害に対する補償などで合意に至ることもあります。また、権利者との共同事業により解決できることもあります。

32.3 外部組織との連携

外部組織は、競争相手であると同時に、良いパートナーでもあります。それらの関係は事業展開での自己能力と力関係に基づきます。あくまでも競争する、競争を回避する、第三の競争者に勝つために連携統合する、事業を売却して撤退する、など種々なケースがありますが、いずれも高度な分析、判断、と実行力が必要です。