11.パースペクティブ(専門領域)
- パースペクティブ(専門領域)は、ビジネスアナリシスの実践における専門領域について記述する。一つのパースペクティブは、ビジネスアナリストによって使用される特定のタイプのビジネスアナリシス仕事内の一連の振る舞い、用語、態度である。BABOKガイドに含まれるパースペクティブは次のとおり:
・アジャイル
・ビジネスインテリジェンス
・情報技術(IT)
・ビジネスアーキテクチャ
・ビジネスプロセスマネジメント
- 上記パースペクティブ(専門領域)は、ビジネスアナリシスが実践されるすべてのパースペクティブを表わしてはいない。BABOKガイドで議論するパースペクティブは、執筆時に最も一般的に定義されているビジネスアナリシスの専門領域のうちで代表的なもののいくつかを表わしたにすぎない。
- 各々のパースペクティブ(専門領域)に共通の構造は以下の通り。
・変革スコープ
・ビジネスアナリシスのスコープ
・知識エリアへの影響
・メソドロジーとテクニック
・基礎コンピテンシ
11.1 アジャイル
アジャイルは、価値と法則の体系で具現化され、様々な補足的な実践によって示される柔軟なマインドセットを持っていることに関係する。変化に適応することこそ、アジャイルなイニシアチブの不変的性質である。ビジネスアナリストは分析を行ない、最後の責任がある瞬間に分析の作業成果物を届ける;つまり、分析作業はデリバリ作業に先だって前もって実施されるのではなく、デリバリチームが有効に分析結果を利用する時にジャストインタイムで終了する。
- アジャイルなビジネスアナリシスは、正しい時に、正しい情報が正しい詳細レベルでアジャイルな変革チームに利用可能であることを確実にすることである。したがって、正しい製品を構築することができる。
- ビジネスアナリストは、アジャイルなチームの以下の質問に答えるのを支援する:
・我々はどのニーズを満たそうとしているのか?
・そのニーズは満たすだけの価値があるのだろうか?
・そのニーズを満たす何かを提供するべきか?
・そのニーズを満たすために正しいことは何だろうか?
- ビジネスアナリシス作業は、アジャイルなイニシアチブの全体にわたって連続的に行なわれ、コミュニケーション、ファシリテーション、コーチング、交渉のような人間関係のスキルに大きく依存する。ビジネスアナリストはアジャイルなチームの活発なメンバーであり、また多くの場合活動の計画、分析、テスト、デモンストレーションのファシリテーターでもある。アジャイルなチームにおいて、ビジネスアナリシス活動は特定のビジネスアナリストによって行なわれることもあれば、チームの他の役割の人によって行なわれることもある。ビジネスアナリストは、チームが前提条件における変革を識別するのを支援し、その出現も変革する。
- BABOKガイドのアジャイル拡張版:アジャイルなアプローチにおけるビジネスアナリシスの役割、考え方およびプラクティス、ならびにアジャイルマニフェスト(www.agilemanifesto.org)の価値と法則の詳細を参照のこと。
清水による、BABOKアジャイル拡張版 の解説もあります。
参考までに: http://kbmanagement.biz/?cat=13
11.1.1 変革スコープ(概要のみ:清水)
- ビジネスアナリストは、戦略レベルにおいてビジネススポンサーと仕事をし、提案されたプロダクトやフィーチャが組織のポートフォリオと戦略にどのように提携するか定義するように要求される。ビジネスアナリストはビジネス組織と変革チームと協力し、このビジョンを、変革イニシアチブから価値を提供するために行うべき優先順位の付いた希望の作業項目(プロダクトバックログ?)のリストに分割する。優先順位の付いた項目、またはバックログリストは通常結果のプロダクトに必要な能力にフォーカスする。変革は期待され、変革するべき迅速なレスポンスが可能になる。それは、アジャイルな変革チームが、1つのイテレーションに対して反復用に優先順位付けされた作業項目一つだけをコミットし、最小のインパクトで変革バックログの扱いを可能にするからである。反復はメンバーにより合意された期間、すなわちタイムボックスで、1〜4週続く。
- 要求はビジネスニーズの連続的な調査と分析を通じて開発される。ほとんどのアジャイルなアプローチは反復するがすべての反復アプローチがアジャイルだとは限らないことに注意する必要がある。カンバンのような反復しないいくつかのアジャイルなアプローチがある。
- プロジェクト全体の価値とゴールに影響するような大がかりな変更が必要な場合、プロジェクトは延期し、再評価することができる。
11.1.3 アプローチとテクニック
スクラム:
- プロジェクトの研究がスプリント(一般に2〜4週間)と呼ばれる反復の連続の中で行なわれるフレームワーク。
- 各スプリントの終わりに、チームは潜在的に顧客に出荷するか提供できるだけの、十分品質の高い作動するソフトウェアを生産しなければならない。
DSDM:Dynamic Systems Development Method
- 最初にコスト、質および時間を決め、コンティンジェンシをデリバリされるフィーチャーを変えることにより管理することにフォーカスするプロジェクトデリバリフレームワーク。
- スコープ管理にMoSCoW優先順位付けテクニックを使用する。
- タイムボックス、すなわち短い集中した期間と明確に定義された結果を使用し、作業を管理する。
クリスタル・クリア:
- 硬度とカラーに基づいて定義されるクリスタル方法論ファミリーの一部。
- 硬度は、重大さの増加とともに要求される、より多くの正確さと予測的な計画によるビジネス重要度あるいは被害を引き起こす可能性を指す。
- カラーは、要求される多くの人々およびプロジェクトのリスク要素の次元を横断しプロジェクトの重大を指す。
XP:
- 極端(エクストリーム)に有益なソフトウェアエンジニアリング技術を実現するコンセプトとして名づけられた。
- XPは、ペアプログラミング、テスト駆動開発、その他の職人的アプローチで技術開発プロセスとフィーチャーにフォーカスする。
- XPのテクニカルなプラクティスは、アジャイル管理フレームワークの1つとしてしばしば使用される。
FDD: Feature Driven Development
- クライアント価値の機能パースペクティブに焦点をおいてソフトウェアを開発する。
- 例えば、ハイ・レベルのスコーピング練習に続いて、フィーチャーリストは識別される。また、計画、設計、開発はすべてフィーチャーセットに基づいて行なわれる。
カンバン:
- 固定的なイテレーションを要求しない。作業はアクティビティの連続的なフローとして開発プロセスを移動する。
- 主要なフィーチャーは進行中の仕事をいつも一定量に制限することである(ワーク・イン・プログレス制限あるいはWIP)。
- チームはいつも一定数アイテムのみの作業をするが、また、下流のフローを維持するように要求されかつ、前のアイテムが完成した後の場合に限り、新しいアイテムの作業が始まる。
DAD:ディシプリンド・アジャイル・デリバリ
- 様々なアジャイル・アプローチからの考えを具体化する意志決定プロセス・フレームワーク。
- 開始からデリバリまでプロジェクトを支援するように意図する。DADは規範的ではなく、チームが自分のライフサイクルおよびアプローチをカスタマイズすることを可能にする。
テクニック(解説は省略:清水)
- BDD(ビヘイビア駆動開発)
- 狩野アナリシス
- 手軽な文書
- MoSCoW優先順位付け
- ペルソナ
- 計画ワークショップ
- 目的アライメントモデル
- リアル・オプション
- 相対的見積もり
- 振り返り
- ストーリー分割
- ストーリーマッピング
- ストーリーボーディング
- バリューストリームマッピング