どこでもビジネスアナリシス (42)

42 新しい常識をつくる

42.1 常識は時間とともに変化する

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「常識は本当に常識であろうか」というテーマや、「常識の裏をかく」ことにより他組織に先行することなどを述べましたが、一方ではビジネスアナリシスにおいても常識は貴重な判断基準のひとつでもあります。 ただ、常識はその社会背景や競争状態などの外部環境の影響を受けて時間とともに変化することの認識が必要です。その常識は今どのような状況にあるかを判断することが大切です。

常識には変えてよい常識と変えてはいけない常識とがあるとも言えます。人間性の本質にかかわる常識、倫理観に基づく常識などの多くは変えてはいけない常識でしょう。 単なる習慣などは変えても良いものが多いでしょう。現状の環境とのバランスから判断すべきでしょう。ビジネスにおける常識はその両者が混在していますが、戦略的に常識を破ることが革新につながることもあります。

42.2 経験から学ぶ常識

ビジネスにおける常識では、経験から学ぶものが多いと思いますが、市場の動向や一般の経営管理に関する常識は環境の変化にともなって大きく変わることが珍しくありませんが、技術的な問題は比較的永続性があります。巧の技術などが引き継がれているのはその証拠です。ただ、新たな技術により置き換わることも起こります。老舗といわれる企業が伝統を守り継いでいるのは、信念をもって伝統としての常識を維持していることと、表面的には同じに見えても、その裏では伝統を維持するための大きな努力がされ続けていることもあります。常識はただ存在するのではなく、それを維持するための現場の経験の蓄積があることを理解することは大切です

41.3 ルールとしての常識

経営管理上の常識として、いろいろな経営指標の値や関係がどのような状態にあるべきかの議論があります。事業領域によってその対象指標や関係領域は異なりますが、自分の組織の経営数値を常識的な値と比較しながら運営していくことは常におこなわれます。 場合によっては危険領域に近づかないように、行政的な目標指導がされることもあり、そのような場合には常識というよりもルールとしての性格をもちます。 どのような経営指標を監視していくか、その中でもどの指標をどのような値に維持するか、あるいは目標としていくかはビジネス戦略であり、常識を指標としたビジネス戦略への活用でもあります。 常識を一つのベンチマークとして活用する事により組織の目標設定をするとともに、現場の経験を反映して、新たな常識を構築する事もできます。

41.4 文化的視点、倫理的視点 からの常識

経営組織の評価において、種々な経営数値のみでは表せない社会的評価の視点が重要視されるようになっています。 そこには、社会倫理的な視点、企業文化、人への配慮など、単なる業績面だけではなく、社会全体から見た組織の在り方が評価され、そのような組織が結果として成長を続けるという考えが常識的になりつつあります。 特に、人に関する評価は大切であり、単に人を大切にするだけでなく、能力の活用、柔軟な勤務形態や選択、種々な倫理面からの扱い、組織構造の問題、自由闊達な議論、自由な思考の引出し、柔軟なコミュニケーションなど、人をいかに活かしかつ結集して能力を引き出すかの視点が評価されつつあります。 単に自由、柔軟にすればよいと言うことではなく、その結果得られる成果への厳しい評価制度もあります。 これらは組織背景によっても異なりますが、組織文化としての新しい常識であるとも言えます。ここでも重要なのは、このような常識を育成し常に監視していくトップマネジメントの存在です。