どこでもビジネスアナリシス (54)

54 ビジネスアナリシス実行の基本構造は同じ

54.1 ビジネスアナリシスは機能要素と実行手順の組合せ

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ビジネスアナリシスを理解しようとすると多くの概念や手法を学ばなければならないのではないかと心配されるかもしれませんが、基本は一般ビジネスで行われているいろいろな業務機能と、それらをどう使うかという手順の組合せに過ぎません。ビジネスアナリシスに特有な処理形態や技術があるわけではなく、ビジネスアナリシス自体を一つのビジネスの処理であると考えれば容易に理解できます。視点を変えて述べるならば、ビジネスアナリシスは、日常のビジネスに変化を与えて異なった価値を生むようにするための思考方法なのだと言えます。個々の実行要素は日常利用されていることと同じ事ばかりですが、それらの選択と並べ方と使い方により新しい結果を生むことができるのです。それを実践することにより、ビジネスが新たな形で実行され、新たな結果を得ることができるビジネスの処理そのものなのです。

54.2 全体の構造は同じことの繰り返し

ビジネスアナリシスの実行構造を絵にして見ますと、どこで何をどうするかが良く理解できます。適用する対象課題の特徴、実行される環境、実行者の能力や条件、などにより多くのパターンができますが、それらの実行内容の詳細を除けば実行パターンの数は限られています。新たな課題が生まれても、どれかのパターンに類別されるはずです。また、規模の大きな問題も、小さな問題も、その構成要素の基本的パターンは同じであって同じことの繰り返しに過ぎません。一つの対象課題の中に、さらに部分的問題を解決しなければならない課題を包含することは良くありますが、そのような親子構造においても、適用される解決の構造パターンは同じものの繰り返しに過ぎません。このように、ビジネスアナリシスで実践される実行形態はある限られた数のモデルパターンのどれかに集約されると言えます。あるいはどれかのパターンを基本とした部分的な修正形態にすぎません。

54.3 どんなことでも実行の要素になる

ビジネスの処理では同じことの繰り返しが殆どであることを何度も述べましたが、個々の処理の形態はどこかで再現されていますので、どんな実行要素も一般化した活用形態になると考えられます。このことは、ビジネスアナリシスを構成する要素業務はどんなものでもどこかで役立つことの証明にもなります。ビジネスの行動要素は人間のやることですからその基本は単純な行動なのです。単純な行動の組合せで効果的な結果を生むことができます。組合せが一つの実行要素になることもありますが、行動要素を組み合わせて新しい実行要素に組み立てることもできます。それがまた新しい基本要素として一般化することも可能です。このようにどんなことでも実行の要素になることを理解していると、ビジネスアナリシス実行の幅が広がります。

54.4 過去の経験から見つける

経験は実行上の知識を得ることと、行動に自信を持つ最大のチャンスです。一度使った経験によりその利用方法や成果の特徴が理解できますので利用上の利点、注意するべき欠点などが良くわかります。また、実行したことだけではなくその周辺の方法に対する実行上の問題や効果の予測にも役立ちます。一方で、手法の選択においては経験した方法をどこへどのようにはめこんでいけば効果的なのかの判断に役立ちます。また、経験により不足している機能要素の理解が生まれ、新しい手法や技術を作り出すことにもつながります。経験は分析し思考することで新たな課題へ貢献することと新たな技術を生み出す源になります。新たな手法や技術の発想の多くは、経験から生まれるものです。そのためには経験を意識し認識することが大切です。