どこでもビジネスアナリシス (57)

57 目標設定の条件

57.1 目標の位置づけと制約条件

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何かを実行するときにはその目標があります。どのような目標を設定するかによって、その実行方法は異なります。大切なことは適切な目標を設定するということです。目標を達成するためにはいろいろな制約や条件があります。理想を求めても現実があります。多くの意見の中から最適な目標を設定しなければなりません。また、現在実行しようとしていることは目標の全体なのか、あるいは全体を構成する目標の一部なのかの判断も必要です。全体の一部であれば、全体目標につながるその部分の目標を設定しなければなりません。大きな目標においては、最終目的に達するまで段階的な中間目標を設定しながら進むこともできます。目標達成の次に何をどう展開していくかを考えることが必要かもしれません。目標達成の途中でいろいろな障害に遭遇することがあり、それらに対処しながら進むことが必要です。また、目標の達成を評価する指標を決めることも大切です。 

57.2 自分たちに実行の意識と意志はあるか

目標を決める前にまず必要なことは自分達には十分な実行の意識を持っているか、やり遂げる意志があるかという確認です。 実行には多くの困難を伴うことがあります。それらを克服していかなければ目標に到達することはできません。いろいろな障害が発生しますがそれらを解決しなければなりません。必ずしも満足な環境の中で実行できるものではありませんから、不十分な環境の中ではどうやって対処するかの工夫をしなければなりません。そのような条件や環境を乗り越えて実行すると言う強い意識と認識が不可欠です。総ての条件が可能でなければ、現在の状況で実行できる限界を判断し、可能な範囲に目標を設定することが必要です。一度で達成が困難と判断した場合には目標をいくつかの段階に分けて逐次実行することも可能です。 

57.3 可能性の認識-環境、リソース、時間、人材、協力、実行力

意識と意志があれば実行できる目標も多々あります。経営意識を変えよう、組織体制を変えよう、仕事のやり方を変えようなどという時には、意識改革のための学習や訓練、運営方法やシステム再構築のための検討と、実行、定着の時間が必要になりますが、新たな投資はあまり必要がありません。

さらに、実行組織内部の準備が揃っていても、実行のタイミングは良いかどうかということは重要な視点です。実行意思があり、必要なリソースが揃っていても、外部環境の状態などが揃っていなければ実行するべきではない場面が良くあります。目標のレベルを下げても実行するか、リスクを背負っても全面的に実行するかという判断も必要です。失敗した実行例ではタイミングが悪かったと言うことは良くあります。どれだけリソースを投入しても実行するという選択もあります。それらの設定条件により目標も異なってきます。

57.4 実現するプロセスと実行能力はあるか-

目標を設定するためのもう一つの重要な視点は、成功に導くプロセスはあるかという判断です。どのような戦略で、どのような手段を用いて、どう実行するかというストーリーが描けるかです。実行の意思があり、必要なリソースが揃っていても、どうやって達成するかの戦略がなければ成功に結びつきません。また、効率的に実行することも大切であって与えられたコストと時間で実行できるかどうかも重要な課題です。プロセスは能力と一緒に考える必要があります。特別なプロセスを実施できる個人または組織があるかどうかは大きな課題です。他人の協力を得たり他組織の能力を活用したりすることもプロセスの選択肢の一つです。想定できる障害をどう回避し、あるいは乗り越えるかも課題です。それらの総合的判断の結果、適切な目標を設定することが大切です。