どこでもビジネスアナリシス (58)

58 比較により判断力を高める

58.1 最適解を発見するためにはできるだけ多くの方法を比較検討する

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問題解決の方法はひとつとは限りません。問題が発生している環境と処理の条件によりその解決方法には多くの選択肢がありますので、その中から最も適した方法を選ばなければなりません。最も効果のある方法を選ぶには、できるだけ多くの事例を知っていることが役立ちます。最も適した方法には二つの考えがあります。その一つは、最も価値の高い結果に到達する手法を選ぶこと、もう一つは、最も効果的に達成できる手法を選ぶことです。非常に価値の高い結果を構築する方法があっても、膨大なリソースを必要としたり長時間や大きなコストを必要としたりするようでは問題があります。迅速かつ効果的に構築できる手法であってもその結果得られる効果が小さいようでは困ります。従って、対象とする課題の要求に照らし合わせて、これら二者のバランスのとれた方法を選ぶことが重要です。同じ価値が得られる場合には、迅速さを選ぶか低コストを選ぶかの選択です。

58.2 評価関数を決めて、相互に比較する

目的の達成度を測定するためには、計画時点にできるだけ定量的な基準を設けておくことが効果的です。新たに達成したい到達点に対して出発点の値を設定しておきその差または比率を数値化して評価関数とします。実行途中においても変化が計測できるようでしたら、推進中の達成度として計測しながら状況を判断することができます。評価関数はひとつではなく、複数あってもかまいません。むしろ複数の評価関数を見ながら、総合的結果のバランスを見ていくことができれば詳細な進行状況を把握することができます。評価関数の構成要素を分解して構造化しておけばそれぞれの構成要素の動きのバランスを監視することができます。例えば、ある要素がマイナスであり、他の要素が大きなプラスでそれをカバーして全体をプラスに見せているかもしれません。また、分解された構成要素それぞれの動きの相関関係を知ることもできますので詳細な調整をすることもできます。このようなことがわかれば、マイナス要素のところを積極的に修正することができます。

58.3 それぞれの方法の長所と欠点を知る

利用される手法には長所と欠点とがあります。これらは利用される対象や環境によって変化します。また、信頼性は高いがコストがかかる場合やその逆もあります。解決する課題の最終目標に適した手法の選択が求められます。一連の課題解決は種々な手法の組み合わせで構成されますが、全体の信頼性は構成された部分機能の最も信頼性の低い要素で決まる可能性があることを理解しておくことが必要です。また、高度な手法を用いたならば高いレベルの結果が得られるとも限りません。一部のみに高度な手法を用いた時にはなおさらです。結果は利用者の利用能力に大きく依存します。手法は利用される環境や条件によってその効果は大きく変わりますので、どのような条件で効果的なのか、あるいは適していないかという長所と欠点を知っていることが大切です。

58.4 背景や条件が変われば評価は変わる

評価は背景や条件が変われば変化することを認識しておく必要があります。そのためには、絶対値で見るか、相対値で見るかを明確に認識しておくことが良いでしょう。例えば、売上高が2倍になればよいのか、製品シェアが1位になることが目標なのかということです。もう少し複雑な問題では売上高が2倍になっても、利益率が低下しては意味がなく、逆に売上高が減少しても利益率が高くなれば良いのかという場面もあります。さらに、利益率を評価対象にするのか利益額を対象にするのかによっても異なります。他に為替変動により輸出品の利益が大幅に動くことがありますが、これは生産コストが改善あるいは悪化したこととは異なりますので注意が必要です。