どこでもビジネスアナリシス (59)

59 プロセスの選択に考えるべき事

59.1 何が問題なのか

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問題解決の手法や技術に多様な選択肢があるのと同じく、それらをどのように組み合わせてどう使うかという実行プロセスの組み立てにも多様な選択肢があります。同じ手法も使い方でいろいろな効果があります。そのためには対象としている課題において何が問題なのかをよく理解することが効果的です。問題と思われる事項に焦点をあてて重点的に分析し追究することです。重点的に要因を追及することで、本当の原因は異なるところにあることが判明することもあります。本当の問題点を明確にすることが大切です。

 

 

59.2 問題の構造を分析して攻め方を考える

本当の問題点が判明したならばその問題点の構造を分析してさらに詳細な要因を見つけてゆきます。その中に本当の要因があるはずです。問題の多くは競争にあることが多いと言えます。競争相手に対して自分は何が弱いのかを知らなければなりません。そのためには相手の研究が必要です。分解された詳細要因で比較できれば効果的です。相手の強い要素が見えるはずです。また、何らかの相手の弱みがあるはずです。自分が優位であるものもあるはずです。言い換えれば、自分の弱点が明確になるとともに長所もわかります。そのような問題構成の優劣を考慮して、対応策を構築します。相手に対してマイナス差を縮小し、プラス面を拡大することが効果的ですが相手の強い分野を避けて自分の得意分野を構築する選択もあります。

58.3 拘束条件は何か

選択した手法やプロセスが順調に実行できればよいのですが、多くの場合何らかの拘束条件や障害に出会います。拘束条件や障害は組織内部の問題と組織外部の問題とがあります。内部問題の多くは、人材や資金をはじめとする実行に必要なリソースの配分ですが、組織内の組織間問題、古い基準や習慣、あるいは反対勢力などとの調整も少なくありません。外部問題は、競争者や市場の動向、規格や基準、資材価格変動、資源問題、経済環境変化、為替動向、国際問題などがあり、対象課題によりその影響や関連範囲は多様です。組織内問題は多くは何らかの自己努力で解決する方法がありますが、外部問題ではある程度の交渉や調整により軽減できることもありますが、多くはそのような拘束や影響があることを前提に対応しなければなりません。

限られた時間で実行しなければならない場合には重要な拘束条件になりますが、可能な場合には、段階に分けて重要な部分から優先度をつけて部分的に完成させることも対応方法として考えられます。

58.4 自分たちにできるだろうか

最後に最も重要なことは、計画したプロセスが本当に実行できるかどうかということです。実行の鍵はそれを実行する人々にあります。まずは実行をリードしマネジメントする人、そして実際に行動する現場の人たちです。技術的、システム的能力は当然必要ですが、その前に、実行する意識があることです。組織のトップのリードは不可欠です。組織内部の問題は自分たちの問題ですから解決策は必ずあるはずです。組織間の問題は担当ベースで調整できない場合にはトップマネジメントが調整し解決する義務があります。外部問題においても対応できる方法を考え実行するのはすべて担当する人の熱意と実行力です。可能な限界までの交渉をして、不可能な部分は何らかの対応を考えます。高度な専門的知識や技術が必要な場合には外部の専門家に支援を依頼することができます。一緒に考えること、指導してもらうことも可能です。新しいシステムを依頼することも可能です。外部の力を使うことは重要な能力ですが、そのためには、自分の意志を明確に伝える能力をもつことが大切です。