どこでもビジネスアナリシス (61)

61 発想を伝えて利用する

61.1 発想の転換から伝播へ

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新しいことをするときには発想の転換をせよとよく言われます。 同じことをしていてはだめだ、成長しないと言うことです。 何かの改革や改善をしようと思う時、これまでと同じ考え方の中にいたのではその枠の中から出ていけないと言うことは当然のように思われます。 発想の転換は容易にできるでしょうか。 それができないから現状にとどまっているのです。 どこかから新しい考えを見つけてきて自分の考えの中に組み込むことが必要です。 そこで、新しい発想ができたならば、互いにそれを伝えることが発想を豊かにすることを助けます。 異なるビジネス分野に同じ課題を抱えていることは良くあります。 そこへ助け船を出してあげるのは効果があります。 自分の中の異なる分野でも構いません。 発想の伝播が互いの発想を豊かにします。 自分が考えたものでなければならないと言うことは全くありません。 役に立つものは何でも利用することが発想を豊かにする原点です。 新しい発想は、外部からの刺激により触発されます。 そのためには常に考えていることが大切です。 何かの信号を受信する準備が必要です。外からのアイデアの伝播を受け入れる心が必要です。

61.2 過去の経験による多角的思考

誰でも、これまでにしてきた経験は無数にあります。 その中には役立つ発想が詰まっています。 それに気付くかどうかは、受け入れる心の準備があるかどうかです。 いつも何かを探している人はいろんなものを容易に見つけます。 外見上は全く異なる現象であるのに、課題解決に大きな効果が隠れているものは数限りなくあります。 それらを見つけ出すのは日頃の意識です。 類似の行動をしてみることは当然ですが、反対の行動をしてみることも同じ発想から生まれるものです。 価格を下げたら売り上げが増えたと言うのは常識的ですが、逆に価格を上げたら良く売れるようになったと言う話も少なくありません。 但し、それに付随する条件を満たさなければなりません。 品質を良くする、デザインを変える、機能を充実するなどいろんな条件があります。 何も変えないのに価格を上げたら高品質のイメージが強くなり売り上げが伸びたという話もあります。 ただ、明確な目的意識をもってやることが大切です。過去の経験を振り返ってみて多角的に考えてみることは役立ちます。

61.3 発想を組みあわせるともっと面白い

いろいろな発想を組みあわせるとさらに面白くなります。 総合的効果、波及効果が生まれます。 複数の機能を持つ調理器具などはその典型例であり珍しくありません。 女性の登山ファッションが流行すると、それにつれて女性のみならず男性の登山人口も増えるなども複合的効果でしょう。世界遺産に登録されると、観光資源としての価値が高まると同時に地域産業の再開発にも貢献します。これからはエレクトロニクス技術の高度化に伴い、自動化技術が進み、思いがけないロボットが人間の行動を助けてくれることになります。日本におけるコンビニエンスストアの機能は当初の手軽な近所の販売店から、最近は社会インフラの一つとして、流通、金融、公共機関窓口、各種サービスなどその範囲は無限に広がりつつあります。これらはいずれも発想の伝播によるいろいろな発想の組合せを基盤とした多角的思考の組合せです。

61.4 新しい発想を連鎖的に育てる

このように発想は伝播して新たな発想を生み、連鎖的に発展します。 大切なことは、このような連鎖的な発展サイクルを生む原点となる最初の芽が生まれるような意識文化を構築することです。 そのためには、自由な発想とそれらに柔軟に対応できる組織文化を育む人材と組織を育てることが出発点です。