73 必要性を明確にする
73.1 何のためにやろうとしているのか
ビジネスの変革をしようとすると、関係するあらゆる課題が指摘され、多様な期待と希望が提案されます。多くの場合どの指摘や提案も正しいことが多いのですが、その選択の視点によって必要性や重要性の順序が異なります。従って、何のために何をしようとしているのかの必要性を決めなければなりません。「何のために」とは多くの場合は自分たちが課題としている目的のためにですが、その目的がまた多様です。なぜ改革が必要なのか、そのためには何をしなければならないかをよく議論して認識しなければなりません。一般には現在最も重要と考えられる課題の中から選ばれるのですが、突出した目標がある時は良いのですが、類似レベルの課題が山積しているときには一度に処理することはできませんから、何のためにやろうとしているのかを明確にして、目標の選択には広い視野からの分析と判断によって優先順位を決めなければなりません。
73.2 何を期待されているのか、誰の要求なのか
目的達成への道順は多様です。多くの場合いろいろな手段を組みあわせて解決のための要素を組み立てていきます。同じ問題解決といってもその期待値は一様ではありません。どう解決することが期待されているのかを正しく理解する必要があります。組織間の問題であっても一つの組織では解決されたと思っていても、相対する組織では解決になっていないということは良くあることです。個人的にもうまく解決できたと思っていても、他人からそれでは解決になっていないと言われることも常に起こります。課題解決のための施策は、解決の視点がどこにあるかにより評価が全く異なることは珍しくありません。組織を含めて、誰の要求なのかを認識して期待は何なのかを理解し判断することが大切です。
73.3 要求は正しいだろうか・・・それは本当に必要だろうか
課題や問題の解決は、目的に到達するまでいろいろな要素の組合せによる行動の集まりから構成されていると言えます。最終的な目的である要求を含めて、そこに至るプロセスの要求も多様です。それらの要求が本当に正しいだろうかという判断は非常に大切です。ここでも、どの視点から見て正しいかの判断が必要です。もちろん、実行テーマ全体が同じ視点から見なければなりません。テーマとしての目標に対して、それを実現するためには何が必要なのかという要求が提示されます。実現するための要求ならばそれは一連の実行プロセスであり、そのようなプロセスは複数存在するはずです。その中から最も適したプロセスを実行の要求として提案することになります。最も適したというのは何を評価基準とするのかを明確にしなければなりません。例えば、もっとも短期間にできるものなのか、最低コストでできるものなのか、あるいは最も信頼性のある方法なのかなどの選定基準を明示しなければなりません。その中でも、実行要素として本当に必要なのかという判断がさらに必要です。
73.4 要求の整理・・・取捨選択と優先順位
要求にはあれもしたい、これもしたいという希望が生まれます。その中から本当に必要なものを選定してさらに実行の優先順位を決める必要があります。ここでも、効果の高いものから選ぶか、実行の容易なものから選択するか、緊急性、あるいは将来の計画への継続性を考えるのかなどその視点はさまざまですが、本来の目的と目標との必要性と現実の実行環境からの可能性の判断などから優先順序を選択しなければなりません。実行においては必ず何らかの資源を必要としますので、必要資源の利用可能性と発生コストの妥当性や最適化が求められます。投資に対するリターンの大きさの評価は重要な選択基準の一つになります。