76 並べ方を変える-実行順序の重要性
76.1 並べ方を変えると異なる効果が生まれる
ビジネス上のあらゆる処理や行動にはルールがあって定められた手順に従って実行されるのが普通です。むしろ規定通りに実行しなければなりません。 ただ、何らかの目的があって、新しい変化を求めるときには長年実行されてきたルールを変えてみることは価値があります。ルールは設定された時点での背景環境と一体であり、現在と異なる環境で決められた可能性が強いからです。ルールが決められた時から時間が経っていて周囲の環境は変化しているはずです。自分をとりまく社会やビジネス環境だけではなく、関係する組織の状態や能力の多くが変わっているはずです。また、実行される個々の作業や行動は同じであっても、その実行順序が変わると全く異なる効果が生まれることがあります。緻密な計画を立ててその決定手順に基づいて実行することに対し、おおよその計画で試行してみて実行しながら計画を修正していく手順は変化への対応方法の一例です。
76.2 自分の並べ方、相手の並べ方
張りつめられたタイルにはいろんな模様があり、それぞれが個性的な美しさを表現します。全く同じ模様のタイルの組みあわせでもその並べかたによって大きく異なる模様を示します。ビジネス上の何かを処理するときに大きい順に並べるのか、小さい順に並べるのか、強い順に並べるのか、弱い順に並べるのか、あるいは混在させるかなどの選択場面によく遭遇します。スポーツの団体個人戦でどの相手に誰をあてるかなどのオーダーの組み方は戦略的であり、総合結果に大きな影響を与えます。強い者同士をあてるのか、強い相手に弱い者をあててそのゲームを捨てるなどは戦略ですが相手も同じことを考えてくるでしょうから読みが必要です。新製品の発売においても、何をどのような順序で出していくかは重要な戦術です。順次投入していく場合には、出し方の順序によって全勝することもあれば全敗する可能性もあります。単に勝ち負けだけではなくリスクを最小限度にする方法や大きく引き離すための戦略も組み込まなければなりません。
76.3 どちらが先に勝つか
スポーツの試合における初戦は大切だと言われます。試合の流れは重要だと言われます。いずれも運の結果のように受け取ることもありますが、背景には慎重な戦略と準備があるはずです。初戦に勝つことによって流れを作ることができます。当初の計画をそのまま進めることができます。初戦に負けると、当初の計画の見直しが必要になり、反撃のための無理が組み込まれます。勝つ時の勝ち方、負ける時の負け方も戦略です。負けた時には巻き返しをするのか諦めるのかのストーリーが必要です。
76.4 メンタルな影響は大切
最初に勝つことは心理的にもその後に勢いを与えます。全く同じことを実行するにしても、心理的に余裕がある時には事がスムースに進みます。まず勝つことができれば、その後の実行に柔軟性を持つことも可能で、心理的な安心感があり、さらに計画通りに進める推進力となります。ビジネスにおける行動はすべて人間がすることですから、メンタルな影響は大切です。実行計画を順調に進めるためにはそれなりの準備があるはずです。偶然うまくいくこともありますがそのようなものは再現性がないと考えるべきでしょう。 十分な計画、それらのレビュー、想定される問題や障害、それらに対する対応策、必要なリソースの確保などが揃って初めて順調な推進が約束されるのですが、最も大切なのはそこに参画する人たちの意識とスキルの準備です。必要なトレーニングも有効です。そうすればメンタルにも自信を持って推進できるはずです。これも並べ方の問題です。