どこでもビジネスアナリシス (85)

85 ルールを変える

85.1 ルールには目的がある

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ビジネスには守らなければならないいろいろなルールがあります。法律から始まり、社会のルール、企業や組織のルールなど多様です。ルールは文書化されていることが普通ですが、暗黙の了解のような明確に記載されていないものもルールと言えます。ルールは社会の秩序を保つために個人や組織が守らなければならないことがらから、組織内の行動の一貫性の維持のための決まりや、何かを実行するときに間違いを起こさないためのガイドラインのような基準や手順書まであります。また、組織間の行動の約束や、契約も相互に合意したルールであり、自分たちの責任と義務を明示したり、他人に要求したりするものもあります。このようにルールはそれぞれ目的を持っています。また、ルール制定のプロセスにおいて合意形成されることが一般的ですが、指示や通達のように一方的に制定されることもあります。公式なルールは制定時に必要な承認プロセスをとりますので、その変更においても決められた手続きをとらなければならないことが一般的です。 

85.2 変えてはいけないルールと変えなければいけないルール

ルールは守ることが基本ですが、必要に応じて変えることも必要です。むしろ、周りの変化により変えるべきもの、あるいは変えなければならないルールも多く存在します。基本的な人権や倫理に基づくものなどは変えてはいけないルールですが、組織の原点となる基本思想や社是のようなものも同様に変えることはあまりありません。そのほかに、法律など行政機関が決めるものは個人や組織で変更することはできませんが、概念的なものにおいては解釈の相違により実際上は定義の境界が不明確なものも少なくありません。罰則のあるものなどは解釈に注意しなければなりません。一方では、組織内の規格や基準などのルールには現状では効率の悪い手順や方法を強いられるなど弊害になっているものも見受けられます。このようなものは変更による影響を検討の上、必要な手続きを踏んで早期に修正するべきルールです。

85.3 環境が変わればルールも変わる

時間と共にビジネスの環境は変化を続けますからその蓄積として多くのルールの妥当性が失われてゆく可能性があります。例えば制度の変化にともない制限が解除されたことによる手続きの変化、ビジネス背景の変化によるより迅速な意思決定を要求されるプロセス、技術の進化による生産プロセスの変化などに関係するものなど、旧来のルールを踏襲していたのでは不利になる場面は多々発生します。それらの背景に対応して関連する組織内のルールの改定を迅速に行うことが必要になります。そのほかに組織間の業務分担や責任範囲などもルール化されていることが多々ありますが、関係組織や内部能力の変化を勘案してビジネス効率の最適化を求めて柔軟に変えていくことが求められます。ルールによってきめられていることを理由として限界としないで、現状に合わなくなったルールは積極的に秩序をもって変えていくという発想が必要です。

85.4 技術の進化でルールも変わる

技術と言っても、理学、工学、化学、医学など理工学的なものばかりでなく、概念、思想、論理、情報処理や管理技術の進化も急速です。これまでできなかったことが可能になる発展的な技術進化の他に、全く新しい技術も数多く現れてきます。そのような技術を背景として、ビジネスのルールもそれらに適応して変化しなければなりません。特に情報技術を背景としたマネジメントの変化はそれを支えるシステム技術の進化を背景として激変しつつあるとも言えます。むしろ、ルールをこう変えたいという技術を見つけだす逆転の発想が有効かもしれません。