どこでもビジネスアナリシス (87)

87 異なるものから類似性を見つける

87.1 外見は違うが中味は同じことが多い

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ビジネスではいろんな課題や問題に日々直面します。そのたびごとにどう解決するかに時間をとられ悩まされています。このような課題解決への対応力はその速度や検討内容において豊富なマネジメントの経験者と新人では一般に大きな差があります。豊富な経験に基づく知識の蓄積が効果的に新しい課題に反映される結果です。ただ、経験者は現在直面している課題と全く同じ経験を過去にしているのではなく、初めての課題にもしばしば遭遇します。そのような場合においてもその対応は迅速で思考は豊富であると思います。ビジネスで起こる事象では外見は異なるが中味は類似であることが殆どであることを理解して類似のケースを直感的に想定しているはずです。それを理解して経験の中から適切な事例を見つけだし、そこから現在の対応方法を導き出し、いろいろな派生問題を描きながら対応を考えているのです。そのような行動ができることが良いマネジメントです。そのような思考要素を選択したり思考回路を構築したりするのがビジネスアナリシスであるとも言えます。 

87.2 本質はどこにあるか

いろいろなビジネス上の課題解決では実務上の種々の現象の本当の原因は何かを追究することから始めます。表面化している現象を構成する背面の現象を見つけ出します。簡素な例を示しますと、企業の業績が低下しているという事業状況の背面を構成する現象は何なのかを解明することです。事業収益が課題だとするならば、収益は売価と原価の差ですから、売価が低下しているか原価が高騰しているか、あるいは売価の低下に原価の低減がついていけないということです。数量の減少も要因になります。売価と原価の二つの側面から真実を捉えることと、売価、原価、の二つの要素のその中の構成要素を分析してゆきます。いずれの構成要素も多様であって、構成する全要素が同様に変化していることはなく、上昇しているものもあれば低下しているものもあります。外見上はそれらのプラス、マイナスのバランスを示しているにすぎません。それらの中に、真の原因となる一つあるいはいくつかの悪化要素があるはずです。悪化要素の真の要因は何かを捉えることが必要です。それはなぜ発生したのかというところに問題の本質があります。なぜそれを防げなかったのかという認識も大切です。

87.3 複雑なことは単純なことの組合せ

ビジネス上の課題は多くの場合複雑な要因が絡み合っています。複雑な要因はさらに多様な関連事象を内在しています。一つの主要因があるのではなく、多くの小さな要因が積み重なって大きな効果になっているかもしれません。複雑な問題はそれを構成する単純な現象に分解してみることが要因を見つける方法です。日常一つの要素だと思っていることが多くの要素から構成されていることに気付かないことがあります。先に述べた原価に例をとれば、原価を構成する要素は驚くほど多いのです。見えないコストがあちこちにあります。無駄なコストがあります。そのようなコストがなぜ発生するのかを掘り下げて究明することにより原因の追究は単純化されますが、そこに存在する原因は過去に経験した種々な前例に類似なものがほとんどでしょう。

87.4 背景にある条件を理解する

ビジネスはその時々の環境の中で運営されていますので、同じ形態の行動であっても異なる現象が現れることは良くあることです。競争相手の意図的な行動に左右されるときにはなおさらです。異なる背景により異なる結果が生じることの理解は大切です。どのような背景により結果がどう変わるかの類似性も多くの経験から蓄積され原因の解明に役立ちます。同じ行動が背景条件により全く異なる結果を生むという認識は重要です。