88 環境は自分で作る
88.1 枠からはみ出そう
日々のビジネスでは決まった枠の中で同じ行動を繰り返しているという事実を忘れがちです。同じ領域の中で同じことを繰り返していたのでは変化を起こすことはできません。気が付いた時には競争相手は先へ行ってしまっているかもしれません。常に自分たちは今の位置にいてよいのだろうかという危機感を持って外の状態を監視していることが大切です。いつも競争相手よりも一歩前にいることを心がける必要があります。競争の状態は相手が行動したときに初めて見えますので、その裏で計画されている次の状態は見えません。それが見えた時には相手はもう一歩先のことを計画しているはずです。 このような状態に対処するために自分たちは今の枠から一つはみ出してその先の戦略を持っている必要があります。はみ出し方のひとつは現在の状態の延長線上の優位点を目指すもの、もうひとつは全く異なる方向へ踏み出すことです。環境が穏やかな間は安心しがちですが、その間に次のはみ出し計画を着々と準備して行くことが大切です。
88.2 「だからできない」から「こうやればできる」へ
新しいことをやろうとするとさまざまな困難や障害にぶつかるものです。そのような場面ではできない理由を並べて「だからできない」と言いたくなるものですがそれでは新しいことへ変化していくことはできません。新しいことを成功に導くのは、困難や障害を打破することを意味します。言い換えれば困難の多いことほど実行の価値があります。わずかな可能性を求めて多くの人達が新たな成功の努力をしています。何とかして「こうやればできる」ということを見つけ出そうとしています。失敗は成功のもとと言われますが、失敗によってダメなことを排除していって、残りの中にある成功への道を見つけること、失敗の中の成功への光を見つけてその方向へ進んでいくことの二つの道筋があります。試行の中のかすかな現象を見つけて成功へ導いたケースは多々あります。感覚を敏感にして「こうやればできる」ということを見つける努力があれば、連鎖的に成功に導くことができるはずです。
88.3 ないものは作れ
「こんなものがあればよいのに」とか「こんなことができればよいのに」という言葉はよく聴くものです。そのようなものがないから現在の状態なのです。それが価値のあるものならば自分で作るしかありません。むしろ最初に実現すれば先行者利益を享受できるはずです。「ないもの」はチャンスなのです。どうやって実現するかがチャレンジなのです。それを実現する方法を効果的に考えるにはビジネスアナリシスが大いに役立つはずです。科学技術の世界でも、ビジネスシステムの世界でも、ないものをどんどん新しく作り重ね上げてきた結果が現在の状態です。情報処理の世界を見ても、手回しの機械式計算機から始まり、電子的処理に変化し、ハードウェアと同時にソフトウェアも進化し、現在ではその処理能力は人間の能力からは想像もできない速度と機能を持つに至っています。現在ではこのような機能をさらに新しい「ないもの」を作る出すための手段として利用することもできます。まだ、原始的な段階にとどまっている「ないもの」を見つけることは価値があります。
88.4 自分に都合のよい環境を作る
ビジネスは環境の中で営まれています。同じ行動も環境が異なれば異なる結果に終わることは日常的です。言い換えれば、ビジネスを自分に都合の良い環境に置くことにより成功させることができます。環境は自分の外にあって変えることはできないと考えがちですが、自分から働きかけたり、場所や時間を選んだり、協力者を選んだりすることによって、実質的な環境を積極的に変えることが可能なのです。環境が悪いと言わないことです。