94 情報を正しくとらえる
94.1 情報には真実と想定とがある
ビジネス行動の起点となるのは関連するいろいろな情報です。情報がどのような背景でどやって生まれ、どう伝わってきたかを正しく理解することはビジネス行動の原点です。 ビジネス情報では発生の背景が曖昧なものが少なくありません。誤った情報に基づく判断は誤った行動につながります。 大きく分けるならば、現実に発生した現象に基づく情報と、想定された現象に基づく情報とがあります。情報は表現方法により理解に誤差を生むこともありますが、真実の記録と、想定による情報とは、信頼性の面からその後の利用に大きな注意が必要であることを理解しなければなりません。
94.2 真実の記録としての情報
自己の組織における業績記録は殆どが現実の実績記録であって、種々の比較分析や今後の計画などのために即座に利用が可能です。外部の情報であっても、公式機関によって公開される多くの情報がありますが、時間差があっても、信頼して利用できるものが多々存在します。時々刻々変化する外部情報を監視しながら対応する業務もあります。一方では、公開される情報相互が競争し合い市場に影響していく情報もあります。通信手段の高度化により、情報伝達はグローバルに瞬時に実行されるので即時にフィードバックがかけられることも珍しくありません。実績としての静的情報のみではなく、迅速に動く動的情報の重要性が増してきています。真実の記録としての情報は動的変化が重要性を増していて、それらが機械的に瞬時に反応しあう世界に突入しています。また、リアルタイムな膨大な情報の多様な分析が可能になり、その結果新たなビジネス上の知見が次々と発見されています。ただ、情報はその定義を正しく理解しないと誤りを起こす原因になることの認識が必要です。
94.3 周囲状況からの推定
明確に捉えにくい情報や、組織の外部には公開されない重要な情報も多々存在します。そのような情報は観測される周囲の状況から推測されて利用されます。このような情報は確認情報ではありませんから、その推定内容を常に分析し、信頼性を判断する必要があります。対応策の決定には常に代替案を準備して迅速に変化できるようにしなければなりません。周囲状況から内部状況を捉えるには関連する事業の状況指標を監視することや、長期的なトレンド或いは最近の急速変化などの監視が役立ちます。このような情報の捕捉には経験が必要ですが、思いがけない情報が飛び出すことも多く、柔軟に対応できる体質が必要です。このような情報は既に発生している外部には見えない状況を解明することであり、次に示す今後の予測とは異なる努力が必要です。
94.4 分析による今後の予測
ビジネス環境は常に変化していますので次に何がどのように変化するかの情報を得ることができれば大変有利にビジネスを展開することができます。このような予測情報は多々存在しますが、その信頼性はまちまちであり、同じ分野の専門家の予測であっても全く反対の意見があることは珍しくありません。このような予測は種々の状況分析から構築されますが、その論理と変化の読みによって異なる予測となります。従って複数の予測情報から一つを選択して利用する場合には、できる限り予測の背景情報を確認し、自分が最も確からしいと信頼するものを選択するしかありません。重要なことは、背景状況を理解して利用することであって、そうすればたとえ異なる状況に至ってもその経緯が理解できますので修正のための行動の構築も比較的容易にできるはずです。このように、情報は、その発生過程や背景環境を理解することによってさらに柔軟な活用が可能になります。