どこでもビジネスアナリシス (96)

96 異なる意見から答えをみつける

96.1 自分の意見を封印する

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ビジネスにおける行動は自分たちの判断の結果として到達した結論ですから、自分たちの計画は正しいと信じることは当然です。対案に対しては自分たちの意見を正当化するために、反論の構築に腐心することもあります。 対案には、真っ向から異なる意見もありますが、ある程度の類似性があって自分たちの意見の許容範囲であることもあります。議論になると心理的にも過熱することが多く、冷静に判断していないことがあります。

最終的な結論をどうするかは別として、いちど自分の意見を封印していろんな意見を客観的に理解してみることは意味があります。自分の意見を否定する必要はありませんが、自分の主張の背景や条件はどうなっているのかなどを再確認して、反省してみることも良いでしょう。感情的要素も多々発生しますので、冷静に判断してみることは大切です。全面的な修正ではなく、部分的な論理の変更も有意義です。

96.2 反対意見を理解する

自分が考えている論理に対する反論や反対意見に関しては、いかにして否定するか、あるいは自分の意見の優位性をどう説明するかを考えることが多いのですが、相手の意見の中に良い点を見つける努力をすることは有意義です。相手の主張に対して、自分が先に気付いていればそれを自分の主張の中心にしたかもしれない論理もあります。自分の主張する案は最善策の中の一つであるが、もっと合理的な解決策があるのではないかと模索してみることは価値があります。反論や異なる意見はどのような背景や条件の中で有効なのかを理解することも有効であって、自分の意見を修正する可能性を見つけることもできます。自分たちが構築してきた意見は自分達という限られた境界の中で議論されてきたことを理解し、その対象範囲を広げて考えると異なる回答が存在することに気付くことができます。最適解を得るためには反対意見を理解することにも大きな価値があります。

96.3 異なる意見の柔軟な組合せ

意思決定において、その選択肢は特定の案のどれかという単純な選択の問題とは限りません。多くの意見はいろいろな考え方の組合せでできています。多くの場合にはいろいろな環境や条件における選択が可能であり、多様な判断の柔軟な組合せができます。異なる意見をよく聞いてみるとそこから派生するさらに良い解決策を見つけることもあります。自分の意見は、自分を取り巻く限られた環境の中で発生したものであり、世の中はもっと広く意思決定の選択はずっと自由になります。現実に将来発生する世界は非常に広く、自分だけでは想像できない外部へと広がっています。異なる意見はそのような場面や環境の存在を示唆してくれます。新しいビジネスモデルで成功を収める人たちがいますが、その発想は知ってしまえば何でもないことですが、なるほどと思わせるものであり、自分では思いつかなかった概念が現実に実行されています。概念の着想だけでなく、概念が実現されていることが重要です。概念に気付くだけではなく、それをいかにして実現するかの行動が大切です。

96.4 異なる意見からリスクを見つける

何を実現するにも何らかのリスクが存在します。ビジネスではいかにして実行のリスクを回避するかは大きな課題です。リスクの存在分析においても自分で考えることには限界があり、異なる多様な環境下において何が起きるであろうかは想定が容易ではありません。異なる意見から、そのような行動を相手がとるならば自分には大きなリスクの発生になると思われる行動も多々見られます。異なる意見は相手が適用すれば自分にとってはリスクになるという視点で考えますとリスクを見つける重要な手段なのです。