どこでもビジネスアナリシス (97)

97 徹底して議論をするこころ

97.1 議論のこころ

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徹底した議論は常に求められますが、議論に対応する心構えが大切です。議論の多くは自分または自分たちの意見を説明し主張することが多く、自分の意見を優位に導こうとします。自分たちは多くの検討調査や事前の議論を重ねて到達した結論をもって議論に臨むのですからそれを主張するのは当然ですが、考えたいことは、自分の主張はそれとして、相手の主張を理解しようとする意識です。相手が主張する論理の背景、条件、環境、経緯、目標、などその構成を理解する努力をする態度です。反論をするためのポイントを見つける聴き方ではなく、理解しようとする意識です。ましてや、感情的な受け取り方は避けなければなりません。自分たちの意見とその構成内容を比較していくことは理解に役立ちます。結論は異なっても、これは役立ちそうだという手法やヒントは多々あるものです。相手の意見に対して即座に賛意を示す必要はありませんが、自分の意見の補間、修正に役立つ内容、あるいは妥協案に結び付く内容も見つかるでしょう。

97.2 一つの意見より多数の意見、一つの視点より多様な視点から見る

基本的に同じ概念を持ちながら異なる意見表示をすることがよくあります。同じことを言っているのに表現が異なるために反対意見に聞こえることも少なくありません。議論では同じ対象を異なる人が異なる視点から見て解釈し、論理を構成するのですから、多数の意見、多数の視点からの意見があって当然です。議論の対象は同じであっても異なる結論に導こうとする意志があれば全く異なる意見にすることもできます。このような場合には目標の妥当性の議論から始めなければなりません。目標自体の議論、目標に至るプロセスという2段階になるでしょう。前者の合意に至らなければ後者の議論には入れないかもしれません。基本的な背景思想が異なれば物別れになることもありますが、そのような場合には責任者の権限で結論をだすしかありませんが、議論を通して異なる立場からみた何らかの理解が進むことを期待したいものです。

97.3 議論を続けると異なる結論に到達することがある

原案の承認のための議論や検証のための議論もありますが、議論本来の目的は異なる立場から意見を理解しあって最も良い結論に導くことですからその内容は柔軟であって、議論の中心意見は流動的であるはずです。はじめから結論が決まっていて、多数決での承認を得るための形式的な議論も少なくありませんが、このようなものは本来の議論ではありません。事前に関係者に説明して同意を得ておく根回しの文化もありますが、限定した場での議論による圧力を避けるためにも、本来の議論は公開の場で公平にされるべきです。

一方、活発な本質的な議論がかわされますと、原案と大きく異なる結論に到達することがあります。議論からヒントを得て新たな意見が生まれ、良い回転が始まる時です。複数の意見を組み合せると良い結論が生まれることはよくあります。求める本質は何かを参加者が理解して焦点が結集できたときに素晴らしい結論が生まれます。このような議論では、参加者の協力を引き付ける議論のとりまとめ者のリードによることが多くみられます。

97.4 最後に誰がどうまとめるかー妥協点の発見

議論のとりまとめ者のリードは重要です。初期の議論、結論期の議論などを区分して考えることは必要ですが、合意点を確認しながら効果的な議事の前進をすることが鍵であり、堂々巡りは避けなければなりません。何が結論の本質かを判断し、表現のみの議論を避けることも重要です。目標が同じであれば、妥協点があるはずです。まとめ者の豊富な理解力、調整力、判断力、結論の論理を納得させる信頼感と人格も大切な要素です。