98 変化の流れから選択する
98.1 流れの先に結論がある
ビジネスの周辺にある多くのものは動いています。その中で自分も動かなくてはなりません。動き方を間違えると振り落とされます。いちど取り残されると追いつくことは大変です。どちらに動くか、どう動くかを読む能力が求められます。動いているものには流れがあります。悠々とした流れ、急峻な流れ、曲がりくねった流れ、小さなせせらぎ、それぞれに特徴がありますが、突然流れが変わることもあります。大雨による増水、鉄砲水、乾燥による流れの消滅、最も過酷なのは海水の突然の流れ津波です。いずれもその流れが発生する原因があります。流れとその変化はビジネスにおける環境変化そのものです。通常の流れがあり、変化があります。いずれにしても流れの先に結論があります。次の流れがあります。この流れの先をどう読むかがビジネスを決めます。
98.2 多様な視点から異なる動きを想定する
幸い多くの場合流れの変化にはその予兆があります。それをとらえる能力、流れがどう変わるのかの想定力が必要です。一つの予備的な変化で起こる次の大きな変化もあれば、多くの小さな変化が干渉しあって、大きな次の変化を起こすこともあります。小さな変化から始まり、次々と変化を増幅して大きな変化を起こす玉突き現象もあります。いずれにしても、これらの初期の小さな変化をとらえその動きを予測するこができれば大きな効果があるのですがそれを見つけるのは日ごろの意識です。変化が発生したならば、まずはその動きの傾向を監視することが必要です。その動きの傾向から何が起こりそうかを想定することは可能です。変化が拡大するのか縮小するのかの監視も重要です。これまでに起こったいろいろな現象を分析して次の変化を予想する技術が実現しつつあります。まだ十分ではありませんが、方向を想定するヒントとして役立ちます。
98.3 視点を変えると動きの読み方が異なる
物の変化を見るときにはその視点によって見え方が異なることはよくあります。自分の環境からみると被害的現象として見えるものは相手の立場から見ると加害的立場になります。言い換えると防衛的見かたと攻撃的見かたになります。逆の立場から見ると次に起こりそうな動きも異なって見えてきます。楽観的な見方と悲観的な見方もあります。どちらが正しいかはその時点でとりまく周囲環境と自分の立場全体から判断しなければなりません。いろいろな視点から見るとより広い可能性の中から次の動きを想定することができます。自分が変化の動きに関与できる場合には、変化を変えることもできます。変化の方向を変える、変化の速度を変える、変化を止めるなどがありますが、自分の有利な方向へ環境を動かすことができればその効果は多大です。
98.4 第二の実行案を準備する
いろいろな視点から見た結果から一つの想定する結論を見つけ、その状態への対応策を構築します。ただ、想定する状態は保証されているわけではありませんから、不確定性が常に存在します。対応策の進捗とともに実行内容の妥当性の検証が進みますが途中経過の状況により実行案を変更しなければならない状態になることがあります。その原因の第一は想定した目標環境の変化によるものであり、第二は実行実績の計画からのずれによるものですがこれは実行能力の不足あるいは想定外の障害の発生によるものです。想定環境の変化に応じて実行目標を調整し対応策を修正し、実行能力の不足に対しては、学習や追加能力の投入、場合によっては目標の変更によって対応しなければなりませんが、当初から異なる視点から実行課題の発生を想定して第二の実行案を準備しておくことができれば変更による混乱を低減することができます。