PMI ビジネスアナリシス・ガイド 解説(2)【ニーズ評価】

PMI-BAガイド 解説(2) 【ニーズ評価】

 

知識エリア「ニーズ評価」の主要概念

  • 「ニーズ評価」のプロセスは、組織の投資判断を導き、ポートフォリオやプログラムのマネジメント実施中に、次のことを実施するために使用されます。
    -ポートフォリオやプログラムのパフォーマンスが、期待される事業価値を提供し続けること
    -新しい施策が、組織の戦略やポートフォリオおよびプログラムの目標と整合すること、など。
  • ニーズ評価の活動は、組織内外の環境と現在の能力を評価して、実行可能なソリューション案を決定するために実行されます。いずれかの案が遂行されれば、ビジネス・ニーズに対応するのに役に立ちます。

この知識エリアには次の7つのプロセスがあります。

  1. 問題や好機の特定
  2. 現状の評価
  3. 将来状態の見極め
  4. 実行可能な案の決定と推奨
  5. プロダクト・ロードマップの開発の促進
  6. ビジネス・ケースの作成
  7. 憲章作成の支援

知識エリア【ニーズ評価】の全体像をプロセスマップにまとめてみました。
インプットとアウトプットを記載しています。知識エリア全体、プロセス間の関係が分かると思います。

 

PMI_BA_ニーズ評価_2019年9月23日

 

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順番に解説していきます。

4.1 問題や好機の特定

  • 定義:
    解決すべき問題または追求すべき好機を特定するプロセス
  • ベネフィット:
    組織が取り組もうと考えている状況について明確な理解を形成すること

いわばビジネスアナリシスの活動のスタート時点と言えるプロセスです。
ビジネスや組織にとって今取り組むべき課題は何でしょうか。

  • 問題: 赤字や顧客からのクレームはありませんか。
  • 好機: 5Gなど新しいテクノロジーが実用化されると、ビジネスに好影響は出ないでしょうか。

このプロセスは引出しのプロセスと一体で行われることが多いものです。
そして、取組むべき問題、もしくは好機を特定しそれをビジネス・ニーズとしてまとめます。

PMBOKガイドでお馴染みの「インプット」「ツールと技法」「アウトプット」です。

 インプット

  1. 事業価値の評価結果(9.1)
  2. 引出しの結果(確認済/未確認)(6.3,6.4)
  3. 組織体の環境要因

 ツールと技法

  1. ベンチマーキング
  2. 競合分析
  3. 文書分析
  4. インタビュー
  5. 市場分析
  6. プロトタイピング

 アウトプット

  1. ビジネスニーズ
  2. 状況記述書

 4.2 現状の評価

  • 定義:
    アナリシス中の現在の環境を調べるプロセスで、組織の内部あるいは外部で、問題や好機の原因や理由であるかもしれない重要な要素を理解するために行います。
  • ベネフィット:
    組織の現況への十分な理解を提供すること、また、現状のどの要素を変更せずに残し、将来の状態を実現するのにどのような変化が必要かを見極めるための一連の背景情報を提供することです。

現在の組織環境のさまざまな側面を調査したり分析したりします。
例えば、組織内のある部署や事業単位、競合環境でのある側面、特定のプロダクト、その他の多くの領域、組織構造、現在の能力、文化、プロセス、方針、エンタープライズ・アーキテクチャーとビジネス・アーキテクチャー、人的資源や資本のような達成能力、あるいは外部要因。

 インプット

  1. エンタープライズ・アーキテクチャとビジネス・アーキテクチャ
  2. 組織のゴールと目標
  3. 状況記述書

 ツールと技法

  1. ビジネスアーキテクチャ技法
  2. ビジネス能力分析   .
  3. 能力フレームワーク
  4. 能力表
  5. 引出し技法
  6. 用語集
  7. パレート図
  8. プロセスフロー
  9. 根本原因と好機分析
  10. SWOT分析

アウトプット

  1. 現状の評価結果

 

 4.3 将来状態の見極め

  • 定義:
    現在の能力と、アナリシス中の問題や好機に対処する望ましい将来の状態を獲得するために提案された変更一式とのギャップを見極めるプロセス
  • ベネフィット:
    現状から望ましい将来の状態へ移行しビジネス・ニーズを満たすことができるようになるために組織に求められる能力一式が、結果として特定されます。

将来の状態を見極める際に、さらなる引出しとアナリシスを実施します。目的は、維持すべき能力と追加すべき能力を見極め、ビジネス・ニーズに対応するために必要な変更を明らかにすることです。

 インプット

  1. ビジネス・ニーズ
  2. 現状の評価結果
  3. エンタープライズ・アーキテクチャとビジネス・アーキテクチャ
  4. 状況記述書

 ツールと技法

  1. 親和図
  2. ベンチマーキング
  3. 能力表.
  4. 引出し技法
  5. フィーチャー・モデル
  6. ギャップ分析
  7. 狩野モデル
  8. プロセス・フロー
  9. 目的整合モデル
  10. ソリューション能力マトリックス

アウトプット

  1. ビジネス・ゴールとビジネス目標
  2. 必要な能力とフィーチャー

 

4.4 実行可能な案の決定と推奨

  • 定義:
    さまざまな分析技法を適用するプロセスであり、ビジネス・ゴールとビジネス目標に合うソリューション案を検討し、組織が追求するのに最善な案を見極めるプロセス
  •  ベネフィット:
    このプロセスによって提案されたソリューションの実現可能性を妥当性確認すること、そして経営管理層や意思決定者がビジネス・ゴールとビジネス目標を達成するのに最善の活動方針を奨励することです。

 インプット

  1. ビジネス・ゴールとビジネス目標
  2. エンタープライズ・アーキテクチャとビジネス・アーキテクチャ
  3. 必要な能力とフィーチャー
  4. 状況記述書

 ツールと技法

  1. ベンチマーキング
  2. 費用便益分析
  3. 引出し技法     .
  4. フィーチャー・インジェクション
  5. グループ意思決定技法
  6. リアル・オプション
  7. 定技法
  8. 重み付き順位付け

 アウトプット

  1. 実現可能性調査結果
  2. 推奨されたソリューション案

 4.5 プロダクト・ロードマップの開発の促進

  • 定義:
    プロダクト・ロードマップの開発を支援するプロセスで、ポートフォリオ、プログラム、またはプロジェクトのひとつ以上のイテレーションやリリースにわたって、プロダクトのどの側面を実現することを計画に含め、それらをどのような順序で提供していくかを概要レベルで描きます。
  • ベネフィット:
    成果物とそれが提供される順番についてステークホルダー間で共有された期待を生み出すことです。

このプロセスに限らないのですが、プロダクトのロードマップとうたっている限り、どちらかというとアジャイル開発(適応型)を意識しているようです。事業ロードマップは別ですが、ウォーターフォール(予測型)ではロードマップは作成しないとまでは言えませんが、むしろプロダクトを改修するパターンの方が多いのではないでしょうか。

既存のプロダクトの改修は 【9.1 ソリューション・パフォーマンスの評価】プロセスのアウトプット「事業価値の評価結果(9.1)」をインプットとして、【4.1 問題や好機の特定】プロセスが開始されることになります。

 インプット

  1. ビジネス・ゴールとビジネス目標
  2. 要求された能力とフィーチャー

 ツールと技法

  1. 文書分析
  2. ファシリテーション型ワークショップ
  3. 用語集
  4. インタビュー

 アウトプット

  1. プロダクト・ロードマップ

 4.6 ビジネス・ケースの作成

  • 定義:
    ビジネス・ゴールとビジネス目標に取り組むために最善なポートフォリオの構成要素、プログラム、またはプロジェクトの選択を支援するために、十分に調査され分析された情報を合成するプロセスです。
  •  ベネフィット:
    組織が一貫した方法でプログラムやプロジェクトを精査し、必要な投資にプログラムやプロジェクトが値するかを意思決定者が見極められるように手助けします。

 インプット

  1. ビジネス・ゴールとビジネス目標
  2. 実現可能性調査結果
  3. プロダクト・ロードマップ
  4. 推奨されたソリューション案
  5. 要求された能力とフィーチャー
  6. 状況記述書

 ツールと技法

  1. 文書分析
  2. ファシリテーション型ワークショップ
  3. 用語集
  4. プロダクト・ビジョニング
  5. ストーリー・マッピング

 アウトプット

  1. ビジネス・ケース
  2. プロダクト・スコープ

ここがある意味、ビジネスアナリシスのハイライトのプロセスと言えます。これなくしてはプロジェクトがスタートしませんからね。

 

4.7 憲章作成の支援

  • 定義:
    ビジネスアナリシスの知識と経験、そしてニーズ評価およびビジネス・ケース作成中に取得したプロダクト情報を用いて、スポンサーとステークホルダーと協働して憲章を作成するプロセス
  •  ベネフィット:
    これによって、ビジネス・ケースから憲章作成にスムーズに移行できることであり、ステークホルダーに、プロダクト・スコープと要求事項を含むポートフォリオ、プログラム、およびプロジェクトの目標に対する基本的な理解を与えること

支援する対象の憲章は下記の3種類。

  • ポートフォリオ憲章:
  • プログラム憲章:
  • プロジェクト憲章:

 インプット

  1. ビジネス・ケース
  2. プロダクト・スコープ

 ツールと技法

  1. 文書分析
  2. ファシリテーション型ワークショップ
  3. 用語集
  4. インタビュー

アウトプット

  1. 憲章
  2. 共有化されたプロダクト情報

プロセス名が「プロジェクト憲章の支援」ではないことに留意してください。プログラム憲章やポートフォリオ憲章も対象であることを示唆しています。ただし現実劇にはプロジェクト憲章がメインかもしれません。