2. アジャイル・マインドセット
最小限のアウトプットでアウトカム(提供される価値)を最大化すること。すなわち、「やることをより少なくし、正しいことを正しく行う」こと。(Do right things, right.)
アジャイル・マインドセットの主要な側面はつぎのとおりです。
- 迅速かつ一貫して価値を提供する。
- 果敢にコラボレーションする。
- 学ぶために反復する
- ムダを省くためにシンプルにする。
- コンテキストを考慮し、現実に適合する。
- フィードバックを反映し、プロダクトとプロセスの両方を最適化させる。
- 最高品質のプロダクトを生み出す。
アジャイル開発手法には次のように多くのフレームワークがありそれぞれ特定のプラクティスやアイデアがあります。
- スクラム
- カンバン
- エクストリーム・プログラミング(XP)
- 適応型ソフトウェア開発
- リーンソ・フトウェア開発
- SAFe
- LeSS
- DAD
しかし、次のマインドセットはすべてのフレームワークに共通なものです。
- 人間に対する尊重および価値提供上の創造性の重要性
- 生産されるプロダクトやサービスが実際の顧客ニーズを満たすことを確実にするための、迅速なデリバリー、フィードバック、学習の重要性
- 共通の理解を構築するための、チーム・メンバーとステークホルダー・コミュニティ間におけるコラボレーションとコミュニケーション
- 作業を、ビジネス価値を実現する小さなスライスに分割し、増分的(インクリメント)に、そして反復的に提供する。
ご存知のアジャイル宣言(アジャイル・マニフェスト)です。
私たちは、ソフトウェア開発の実践あるいは実践を手助けをする活動を通じて、より良い開発方法を見つけだそうとしている。この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。
- プロセスやツールよりも個人と対話を
- 包括的なドキュメントよりも動くソトウェアを
- 契約交渉よりも顧客との協調を
- 計画に 従うことよりも変化への対応を
すなわち、左記のことがらに価値があることを認めながらも、
私たちは右記のことがらにより価値をおく
上記の「システム」を「ソリューション」に変えるとアジャイル・ビジネスアナリシスになります。具体的には次の表になります。
宣言 |
概要 |
ソリューションの提供の実践を手助け |
アジャイル宣言の中で最も重要な言明である。理論ではなく実践を重んじる。 |
プロセスやツールより個人との対話 |
BAは人間中心の活動。「人」を作業の中心におく。 |
ドキュメントより動くソリューション |
動く何かを、ステークホルダーに提示し、即座にフィードバックを引き出すことに焦点を当てる。 |
契約より顧客との協調 |
ニーズを満たすことに焦点。ソリューションのインクリメントを提示し、そのフィードバックによりニーズの理解を洗練する。 |
計画より変化への対応 |
継続的な学習とフィードバックにより、ニーズに対する理解を絶えず洗練し、ソリューションがそのニーズを満たすように変更を加える |
上の表の右側の「動く何かをステークホルダーに提示し、即座にフィードバック。。」はBABOKの知識エリア「ソリューション評価」をご存知の読者なら意味が通じると思います。
「ニーズに焦点。。。ニーズの理解に焦点。。」は、「引き出し」から要求アナリシスを意味します。
BABOKガイドの拡張版という位置づけがおわかりになるでしょうか。随所にありますので注意深くお読みください。
そして、アジャイル・ビジネスアナリシスの原則を以下のように定義しています。
全体を見る
ビジネス・コンテキストと変化(チェンジ)が必要な理由に焦点を当てます。
BACCMのコンテキストが中心。 システム思考がベースです。
顧客として考える
ステークホルダーに焦点をあてて、ソリューションに顧客の声(VOC)を反映するようにします。
価値あるものは何かを決めるために分析する
ソリューションにより提供される価値に焦点をあてて、イニシアチブの優先順位づけを行います。
例を使って真実を得る
ニーズの共通の理解に焦点を当てるために、アナリシス・モデルを活用します。
実行可能なものは何かを理解する
実行可能なソリューションに焦点をあてます。
コラボレーションと継続的改善を促進する
ステークホルダーとのコラボレーションに焦点をあてます。ステークホルダー・エンゲージメントがキーです。
ムダを省く
次の二種類のムダな活動はやめましょう。
- 価値はあるが、ニーズ(ビジネス・ニーズ)を満たさない活動
- 価値を付加しない活動
ドキュメントは、必要なとき以外は作成しない。