アジャイル・ビジネスアナリシス (4)

イニシアチブ・ホライゾン

イニシアチブ・ホライゾンの目的は

ソリューション案、フィーチャー、優先順位、およびライフスパンに関する意思決定を明らかにすることです。
そして以下のような質問に対して回答できなければいけません:

  • ニーズを満足させるソリューション案は何か?
  • 最小限のアウトプットで最大限のアウトカムを提供できるソリューション案はどれか?
  • 推奨されるソリューション案のフィーチャーによって記述されるソリューション・コンポーネントは何か?
  • ニーズを満たす十分な価値が提供されているか?
  • フィードバックと学習に基づき、ソリューションは継続し、変化し、あるいは取り消される必要があるのか?

要素:

イニシアチブ・ホライゾンで実践するべきこと(要素)は以下の通りですがBABOKガイドのタスクに対応しています。

1.ソリューション案を特定する

引き出し、モデル化、デザイン案定義までのタスクに対応します。

2.ソリューション案を推奨する

ソリューションを推奨するタスク

3.ソリューション・コンポーネントを特定する

デザイン案定義のタスクの「要求の割り当て」です。

4.ソリューション・コンポーネントの優先順位付け

「要求に優先順位をつける」タスクです。

→ここでデリバリー・ホライゾンに移ります。

5. ニーズが満たされているかどうかの判断

→デリバリー・ホライゾンの結果を知識エリア「ソリューション評価」で行います。

6.ソリューションの実現性の継続的評価

→戦略ホライゾンに結果をフィードバックします。

このように、イニシアチブ・ホライゾンの活動はサンドイッチ構造と考えられます。

要求をコンポーネントに割り当て、優先順位を付けたらデリバリー・ホライゾンにわたして作業してもらい、その結果を評価して必要に応じて戦略ホライゾンに伝えることになります。

参考までに、BABOKガイドの3つの知識エリアのタスクを紹介します。

BABOK_アジャイル拡張版V2_Slide5_2020年11月26日

 

知識エリア「要求アナリシスとデザイン定義」の6つのタスク

 

  • 要求を精緻化しモデル化する:分析手法を使用して、一連の要求とデザインを詳細に記述します。
  • 要求を検証する:一連の要求またはデザインが、特定のステークホルダーが使用できる程度の詳細さで作成されており、内部矛盾がなく、高い品質を備えていることを確実にします。
  • 要求の妥当性を確認する:一連の要求またはデザインが、ビジネス価値を提供し、組織のゴールと目標に貢献することを確実にします。
  • 要求アーキテクチャーを定義する:すべての要求とデザインが、チェンジにおけるビジネス目的全体に役立ち、高い凝集性を持って、全体としてまとまって働くように構造化します。
  • デザイン案を定義する:ニーズを満たすさまざまな実現方法を特定し、調査し、記述します。
  • 潜在価値を分析しソリューションを推奨する:ソリューション候補に関するビジネス価値を評価し、トレードオフを含めて異なる実現方法を比較します。そして全体の価値を最大化できるソリューションを特定し、推奨します。

BABOK_アジャイル拡張版V2_Slide6_2020年11月26日

 

 知識エリア「要求のライフサイクル・マネジメント」の5つのタスク

  • 要求をトレースする:影響分析や、カバレッジ、割り当てのために、要求、デザイン、ソリューション・コンポーネント、その他のワーク・プロダクト間の関係を分析し、維持します。
  • 要求を維持する:ライフサイクル全体を通じて要求とデザインを正確かつ最新に保ち、状況に応じた再利用を容易にします。
  • 要求に優先順位を付ける:特定の要求とデザインに関連する価値、緊急性、リスクをアセスメントし、常に、最も重要なものに対して分析または実装、もしくはその両方に関する作業が実施されるようにします。
  • 要求変更を評価する:新たなステークホルダー要求および変更されたステークホルダー要求を評価し、チェンジのスコープ内で対応する必要があるかどうかを判断します。
  • 要求を承認する:ガバナンス・プロセスに関与するステークホルダーと協力し、要求およびデザインについて承認を獲得し、合意を形成します。

BABOK_アジャイル拡張版V2_Slide7_2020年11月26日

 

 知識エリア「ソリューション評価」の5つのタスク

  • ソリューション・パフォーマンスを測定する:ソリューションがエンタープライズのゴールおよび目標とどのように整合しているかを含めて、ソリューション・パフォーマンスを評価する最適な方法を特定し、評価を実施します。
  • パフォーマンス測定結果を分析する:ソリューションがエンタープライズとステークホルダーに提供する価値を理解し、ソリューションが現在のビジネス・ニーズを満たしているか判断するために、ソリューションのパフォーマンスに関する情報を調べます。
  • ソリューションによる限界を評価する:ソリューションが現在のビジネス・ニーズを満たすのを妨げる可能性のある課題を、ソリューション・スコープの範囲内で調査します。
  • エンタープライズによる限界を評価する:ソリューションが提供できる価値の最大限の実現について、エンタープライズを妨げる可能性のある課題を、ソリューション・スコープの範囲で調査します。
  • ソリューションの価値を向上させるアクションを推奨する:ソリューションが提供できる価値を増大させるために、エンタープライズがとれるアクションを特定し、定義します。

 

大切なのはデリバリー・ホライゾンからのフィードバックと学習です。

  • ソリューション案は、今でも適切か。
  • 選択したソリューション・コンポーネントは、今でも適切か。
  • ソリューション・コンポーネントの優先順位と実行順序が適切に付けられているか。
  • 望む成果を実現するためには、すべてのソリューション・コンポーネントをデリバリーする必要があるか。

 イニシアチブ・ホライゾンでもアジャイルBAの原則を適用します。

  • 全体を見る
  • 顧客として考える
  • 価値あるものは何かを決めるために分析する
  • 例を使って真実を得る
  • 実行可能なものは何かを理解する
  • コラボレーションと継続的改善を促進する
  • 無駄を省く