BDAの領域 1: 調査課題を特定する
ゴールはデータアナリティクス・チームに対して焦点を明確にし、その後の作業を形作ることです。そして、この後に行うデータ分析を活用することによって、情報に基づいたビジネス上の意思決定を支援する洞察を得られるようにします。
このドメイン(領域)には、次の7つのタスクがあります。
- ビジネス上の問題または機会を定義する
- ステークホルダーを特定し理解する
- 現状を評価する
- 将来状態を定義する
- 調査課題を定式化する
- ビジネスデータアナリティクス・アプローチを計画する
- 調査課題を特定するためのテクニックを選択する
1. ビジネス上の問題または機会を定義する。
BABOKでお馴染みのビジネス・ニーズを定義することです。データが先にあるのではありません。対処するべきビジネス上の重要な問題や機会を定義することが始まりです。ここは通常のビジネスアナリシスそのものです。ただ問題解決の対象がデータアナリティクスが役に立つかもしれません。いずれにしてもビジネスアナリシスの知見をフルに発揮して、引き出し、問題分析のテクニック、そして組織の知識などが役に立ちます。
2.ステークホルダーを特定し理解する
これもビジネスアナリシスにおなじみのタスクですね。なるべく多くの方をアナリティクスのイニシアチブに巻き込んで協働するようにしましょう。
- ステークホルダーは誰か。
- 彼らのアナリティクスの知識レベルはどの程度か。プロジェクトのどのような面に興味を持っているか。
- どのようなコミュニケーション方法やテクニックが適切か。
- いつステークホルダーとコミュニケーションを取るべきか。
そして、次のことを把握しておくことが重要です。
- 誰が関連する情報を作り出しているか。
- 組織の中で作られたデータは誰に開示されるか。
- 誰がそのデータから得られた洞察に影響される意思決定者か
3.現状を評価する
これもまさにビジネスアナリシスの代表的な仕事です。とくに次の点に注目することが重要です。これらにこだわるものではありませんが。
- 組織構造
- 情報やデータ
- ビジネスプロセス、バリューチェーン
- ビジネスモデル
4.将来状態定義する。
これもビジネスアナリシスそのものですね。重要なのは現状の評価と同時に行いおなじ視点で比較し定義することです。ですから上記の
- 組織構造
- 情報やデータ
- ビジネスプロセス、バリューチェーン
- ビジネスモデル
現状と将来の比較を作成し、そのうえで将来状態を見極めます。その状態におけるビジネスのゴールと目標、KPIなどを定義することです。そして次の点を明確にしておくのが良いでしょう。
- 将来状態は、明確に定義され理解可能である。
- 利用可能なリソースで達成可能である。
- 主要なステークホルダーが、求める成果について合意に基づいた共有のビジョンを持っている。
- 望ましいビジョンが達成されるように、測定可能な目標が設定されている。
5.調査課題を定式化する
具体的な作業を始める前に、ステークホルダーはアナリティクスが答える「問い」を定式化するようにします。例えば、
- 顧客体験に影響を与える要因は何であろうか。(記述的アナリティクス)
- 顧客体験を評価するのに何が基準となるだろうか。(記述的アナリティクス)
- 小売業の個々の取引をどのように肯定的または否定的な体験として分類するのだろうか。(予測的アナリティクス)
- . たとえば 決済ウォレットのような新機能を加えることで、顧客体験は改善するだろうか。(処方的アナリティクス)
ビジネス・ニーズは、さまざまなソリューションのアプローチにつながる可能性があります。そのアプローチはアナリティクス・イニシアチブを伴うこともあれば、そうでないこともあります。アナリティクスの問題や機会が、アナリティクス・イニシアチブにつながるのは、定量的な成功基準を使って調査課題が特定可能になるまで洗練される場合です。そして、アナリティクスの問いの具体的なリストを作成し、問いがまとまると、スコープが導かれ、アナリティクス・チームの活動が促進されます。
6.ビジネスデータアナリティクス・アプローチを計画する
アナリティクス作業全体のアプローチを計画します。
次のことを行います。
- 組織のケイパビリティとキャパシティを見極める。
- 「すぐに成果が出るもの」を特定する。
- アナリティクスの課題の種類(記述的、診断的、予測的、処方的)を見極める。
- ビジネス・ニーズ、目的、調査課題、およびその出所のトレーサビリティを維持する。
計画は反復プロセスであり、新しい知識が得られるたびにアプローチは変更されます。6個のビジネスデータアナリティクス領域には、アナリティクス全体へのアプローチに影響を与える計画の要素が含まれています。アプローチの形式には、正解も不正解もありません。テンプレートを使用する組織もあれば、より視覚的なモデルでWikiやワーク・スペースを使用する組織もあります。
テクニックとして役に立つのは
ブレーンストーミング、機能分解、見積もりなど。また、ファシリテーション、リーダーシップ・スキル、交渉スキルを駆使して、ステークホルダーの合意を得るようにします。
次回は 領域2 データを入手する