ECBA学習の手引き
連載で「ECBA学習の手引き」をお届けしたいと思います。
ECBAの出題範囲は次のとおりです。BABOKガイドの章立てに沿って言うと、
- 第1章 序論
- 第2章 BAの主要コンセプト
- 第3章 BAの計画とモニタリング
- 第4章 引き出しとコラボレーション
- 第5章 要求のライフサイクルマネジメント
- 第7章 要求アナリシスとデザイン定義
- 第9章 基礎コンピテンシー
- 第10章 テクニック
あれっ、何か抜けてますね。
そうです。「第6章 戦略アナリシス」と「第8章 ソリューション評価」は範囲外です。
エントリーレベルなので、戦略的なことやソリューションが価値を出していること検証する作業までは扱わなくてもよいという意味です。ですので、この学習の手引きでもこの2つの知識エリアは対象外としています。
次の順番で学習の手引きを主導していきたいと思います。
- 序章、BA知識
- 引き出しとコラボレーション
- 要求のライフサイクルマネジメント
- 計画とモニタリング/基礎コンピテンシー
- 要求アナリシスとデザイン定義
1.序章、BA知識
- ECBAは、ビジネスアナリシスの経験がなく、ビジネスアナリシスのスキルを身につけようとしている人に、ビジネスアナリシス専門職への参入を認める資格を提供します。ECBAは、過去4年以内に最低21時間の専門能力開発を必要とし試験に基づいて実施されます。
ですから、どなたでも勉強さえすれば受験可能です。
学習目標
学習目標は、ECBAの認定を受けるために個人が実証することが期待されるコンピテンシーと熟練度を反映しています。ECBAの場合、コンピテンシーの測定基準として、具体的には以下のような熟練度があり、各学習目標は以下のように3種類記載されています。
- 基礎知識がある – コンピテンシーに関わる基礎的なスキルや知識について、基本的に認識しています。
- 理解している – コンピテンシーの主要な要素と、それがなぜ重要なのかを認識しています。しかし、そのコンピテンシーに基づいて行動するための経験やスキルレベルは期待されていません。
- ルールに従う – コンピテンシーに関連する活動を、決められたやり方で行うことができます。一般的に、タスクを遂行するためには、ルールやガイドラインが必要です。
簡単に言うと「知っている(暗記)」「理解しているが行動はできない」「教えてくれればできる」の3つのレベルがあるわけです。これらの学習目標がBABOKの各タスク(およびその中の要素)に対応しています。
最初の「ビジネスアナリシスとBA専門職」に関しては、
目的:「ビジネスアナリシスとBA専門職の役割を定義すること」
学習目標は次の2つです。
- ビジネスアナリシスがどのようなものかを理解している。
- ビジネスアナリシス専門職が何をする人かを理解している
2つとも学習目標は「理解している」レベルです。暗記のレベルではありません。
ビジネスアナリシスの定義
- ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにチェンジを引き起こすことを可能にする専門活動
この定義をしっかり理解し、他の人に説明できるようでなければいけません。
また、ビジネスアナリストに関しても、以下の記述を理解し説明できる必要があります。
「ビジネスアナリストは、BABOK® ガイドに記述されたタスクを実施する人であり、肩書きや組織上の役割を問わない。ビジネスアナリストは、エンタープライズ内のさまざまな情報源から情報を発見し、統合し、分析する責任を負う。その情報源は、ツール、プロセス、文書、ステークホルダーなどである。ビジネスアナリストは、現状の根本的な課題と原因を決定するために、ステークホルダーの真のニーズを引き出すことに責任を負う。」
- 例えば、「情報」とは何を意味するのでしょうか?
- また、「真のニーズを引き出すことに責任を負う」とはどんなことでしょうか?
そして、次のビジネスアナリストの基本的なアクティビティも説明できなければいけません。
- エンタープライズの問題とゴールを理解する。
- ニーズとソリューションを分析する。
- 戦略を案出する。
- チェンジを推進する。
- ステークホルダーとのコラボレーションを促進する。
暗記すればよいものではないことをしっかり理解しておく必要があります。
つづいてタスクの構成要素です。
- タスクとは、ビジネスアナリシスの一環として公式または非公式に実行される、ビジネスアナリシスを構成する個々の業務である。
なかなか意味深のタスクの定義です。この時点ではこの定義の意味するところを理解するのは難しいと思います。具体的なタスクのところで再度解説いたします。
タスクの構成要素は8つあります。
- 目的:ビジネスアナリストがそのタスクを実行する理由と、得られる(価値)についての説明
- 概説:タスクの内容、実行する理由、それによって達成されるべきものについての詳述
- インプット:(インプットとは、アウトプットを生み出すために使用されたり変換されたりする情報であり、タスクを開始するために必要な情報)
- 要素:タスクの実行方法を理解する上で必要となる主要なコンセプト
- ガイドラインとツール:(インプットからアウトプットへの変換に必要なリソース。)タスクを実行する理由や方法を記述したものがガイドラインである。ツールはタスクを実行するために用いる。ガイドラインとツールに、(他のタスクのアウトプット)を含むことがある。
- テクニック:ビジネスアナリシスのそのタスクの実行に使用できるテクニック
- ステークホルダー:そのタスクの実行に関与する可能性の高いステークホルダーや、そのタスクから影響を受けるステークホルダーの一般的なリスト
- アウトプット:タスクの実行によって得られる結果についての記述。アウトプットには、タスクが正常に完了した結果として作成されたもの、変換されたもの、または状態が変化したものがある。
これらも理解し、説明できるようになっていなければいけません。
箇条書きだとわかりにくいと思いますので、少しビジュアルの要素を加味してみました。
[図のクリックで拡大表示]
次回は「ビジネスアナリシスの主要コンセプト」を解説いたします。
BABOKの中で最も重要なパートです。