計画とモニタリング
「ビジネスアナリシスの計画とモニタリング」知識エリアのタスクは、ビジネスアナリストとステークホルダーの活動を整理し、まとめたものです。 この知識エリアのタスクが生成するアウトプットは、BABOK ® ガイドの全範囲にわたる他のタスクの主要なガイドラインとして利用されます。
言い方を変えると、各タスクのガイドラインとしての記述は省略されることが多いです。
この知識エリアには次の5つのタスクがあります。
- BAアプローチを計画する
- ステークホルダー・エンゲージメントを計画する
- BAガバナンスを計画する
- BA情報マネジメントを計画する
- BAパフォーマンス改善を特定する
BAアプローチを計画する
このタスクの目的は、ビジネスアナリシスのアクティビティーを行う上で適切なやり方を決めることです。
学習目標は次の6つです。:
- ビジネスアナリシス・アプローチをルールに従い選択できる。
- ビジネスアナリシス・アプローチに必要な公式度を決定する方法を理解している
- 必要なビジネスアナリシス・アクティビティの特定の仕方を理解している
- ビジネスアナリシスの作業タイミングを、チェンジ全体のコンテキストの中で考慮することを理解している。
- チェンジの複雑さとサイズ、およびチェンジの全体的なリスク要因を評価する方法を理解している。
- 主要なステークホルダーがビジネスアナリシス・アプローチを理解し、同意することをルールに従い確実にする。
1 ビジネスアナリシス・アプローチをルールに従い選択できる。
図のように予測型か対応型かのアプロ―チを計画します
- ビジネスアナリシスの成果物の公式度と詳細度
- ビジネスアナリシスのアクティビティを決める
- ビジネスアナリシスの作業の時期
- 複雑さとリスク
- 受け入れ
BAアプローチは主要ステークホルダーによりレビューされ、合意されます。
ステークホルダー・エンゲージメントを計画する
このタスクの目的は、ステークホルダーと効果的な業務上の関係を築いて維持するためのアプローチを計画することです。
学習目標は次の3つです
- ステークホルダー分析の実施方法を理解している。
- チェンジを支援するために必須なステークホルダーのコラボレーションを定義する方法の基礎知識がある。
- 適切なステークホルダーコミュニケーションのニーズを特定するための基礎知識がある。
1 ステークホルダー分析の実施方法を理解している。
ビジネスアナリシスのアクティビティーが継続する間、繰り返し実施されます。次の項目を調査します
- 役割
- 態度
- 意思決定の権限
- 権力や影響力のレベルなどを調査してまとめます。
2 ステークホルダー・コラボレーション定義:基礎知識
- コラボレーションの時期と頻度、
- 場所/ツール/デリバリー方法
- ステークホルダーの嗜好
3 ステークホルダーのコミュニケーションニーズ:基礎知識
- 何を/適切な方法/誰に/いつ/頻度
- ステイクホルダーの地理的場所
- 詳細度/公式度
このタスクで重要なテクニックとして、ステークホルダーリスト、マップ、ペルソナがあります。
BAガバナンスを計画する
このタスクの目的は、要求とデザインに関する意思決定がどのように行われるかを定義することです。この定義には情報のレビュー、変更管理、承認、優先順位付けが含まれます。
学習目標は次の4つです。
- 効果的な意思決定プロセスをルールに従い特定することができる。
- 要求とデザインの効果的な変更管理プロセスの開発方法を理解している。
- 要求とデザインのための効果的な優先順位付けプロセスの立案に関する基礎知識がある。
- 作成される成果物に対する効果的な承認プロセスをルールに従い立案するができる。
このタスクは先週学習した知識エリア「要求のライフサイクルマネジメント」の3つのタスクを計画します。
- 要求変更を評価する:変更管理プロセス
- 要求に優先順位をつける:優先順位付けアプローチ
- 要求を承認する : 要求を承認する
.1 効果的な意思決定プロセスをルールに従い特定する
- 意思決定の議論への参加者や意思決定プロセスへ経験・知見あるSME
- 情報のレビュアー/ ・決定の承認者
.2 変更管理プロセスでBAは次のことを行います。
- 変更を要求するプロセスの決定
- 変更要求の要素を決定
- その他
.3 優先順位づけアプローチを計画する:次のことを決めます。
- 優先順位の公式度と詳細度
- 優先順位プロセスへの参加者
- 優先順位付けプロセスとテクニック
- 使用される優先順位付の基準。
.4 承認を計画する
ビジネスアナリストは、承認すべき要求とデザインの種類、承認の時期、承認を得るためのプロセス、また誰が要求とデザインに承認を与えるかについて決めます。
BA情報マネジメントを計画する
このタスクの目的は、ビジネスアナリシス情報をどのように保存し、どのようにアクセスするかについてのアプローチを開発することです。
学習目標は次の6つです。
- ビジネスアナリシス情報を整理する方法を理解している。
- ビジネスアナリシス情報の適切な抽象度の決定に関する基礎知識がある。
- トレーサビリティ・アプローチの計画立案に関して理解している。
- 要求の再利用のための計画立案に関する基礎知識がある。
- ビジネスアナリシス情報の保存方法とアクセス方法をルールに従い決定できる。
- 要求とデザインの継続的なマネジメントのために、使用される属性を特定するための基礎知識がある。
1 ビジネスアナリシス情報を整理する方法を理解している。
ビジネスアナリストは、効率良くアクセスし、使用できるように、ビジネスアナリシス情報を整理する責任を持ちますので情報を探しやすく、他の情報と矛盾や重複したりすることのないように、適切に構造化します。
2 ビジネスアナリシス情報の適切な抽象度の決定に関する基礎知識がある。
すべてのステークホルダーに同じ情報を提示するのではなく、各ステークホルダーの役割を基に、適切な量と詳細度で情報を提示できるようにします。
3 トレーサビリティ・アプローチの計画立案に関して理解している。
過度の費用をかけずに価値を付加できる詳細度で、アプローチを計画します。
4 要求の再利用のための計画立案に関する基礎知識がある。
次は要求の再利用の有力候補です
•契約上の義務•品質標準•サービス・レベル・アグリーメント
•ビジネス・ルール•ビジネス・プロセスなど。
再利用するには、要求に明確な名前を付けて定義し、他のビジネスアナリストが利用可能なリポジトリにそれらを保存します。
5 ビジネスアナリシス情報の保存方法とアクセス方法をルールに従い決定できる。
リポジトリは、保存したあらゆる情報のステータスを示すことができ、また時間の経過と共に情報の修正が可能なようにします。
6 要求とデザインの継続的なマネジメントのために、使用される属性を特定するための基礎知識がある。
・絶対参照/作成者/複雑さ/オーナーシップ・優先順位/リスク/情報源/安定性・ステータス ・緊急性 など
下図は「BAガバナンスを計画する」タスク、「BA情報マネジメントを計画する」タスクと知識エリア「要求のライフサイクルマネジメント」のタスクとの関係です。