第3章 アジャイルテクニックのBABOK®ガイドへのマッピング  計画とモニタリング

第3章 BABOKガイドにアジャイルテクニックをマッピングする

以下の知識エリアでは、BABOKガイドのアジャイル拡張版の開発を通じて識別された、ポピュラーなアジャイルなビジネスアナリシステクニックを説明します。BABOKガイドに述べられているビジネスアナリシステクニックの多くは、アジャイルなコンテキストにおいて引き続き使用することが可能です。

さらに、本書またはBABOKガイドの中でリストされないていない他のテクニックも特別の状況では有用で、適用可能であるかもしれません。BABOKガイドのアジャイル拡張版にリストされていないテクニックでも、アジャイルなビジネスアナリシスを行なうコンテキストにおいて価値があるかもしれませんから、無視するべきではありません。

以下のセクションでは、BABOKガイドの記述を補足するアジャイル開発に適用可能な共通のビジネスアナリシステクニックに注意を払います。本章で、BABOKガイドの知識エリアにマッピングされるアジャイルテクニックは、第4章においてより非常に詳しく説明されます。

 3.1 知識エリア:ビジネスアナリシスの計画とモニタリング

ビジネスアナリシスの計画とモニタリング (BABOKガイドの第2章)では、ビジネスアナリストがプロダクトのライフ・サイクルに全体にわたって必要なビジネスアナリシス活動について記述しています。アジャイルなアプローチでは、ビジネスアナリシス活動を初期に計画してもよく、または活動を開始する準備ができるまで延期することもできます。ビジネスアナリストが初期計画を開発する場合、その計画が常に最新であることを確実にするために、個々の新しい活動を始める前に更新されます。

 3.1.1 タスク:ビジネスアナリシスのアプローチを計画する(2.1):

アジャイル方法論は、BABOK(R)ガイドに記載されて変化駆動型のアプローチの一般的なカテゴリに分類されます。
一般的に、いくつかのビジネスアナリシス作業は、プロジェクトのビジョンを定義するために初期段階で実行されますが、必要に応じて詳細な分析も実施されます。しかし、ソフトウェアが解決するべきものが不明な場合や、相反する利害を持ついくつかのステークホルダーグループが存在している問題などは、プロジェクトを開始する前にビジネスアナリシス作業を行う必要があるかもしれません。プロジェクト開始前にしっかり分析すれば、問題やその原因およびステイクホルダーのゴールをよりよく理解できるので、プロダクトビジョンについて合意に達することができるでしょう。それは、プロダクトが取り組むべき問題か機会についての合意を共有することを含みます。その結果、それは、イテレーションのように仕事の各サイクルで定義されるビジネスアナリシス活動に加えて、プロジェクト開始以前に定義された計画的ビジネスアナリシス活動かもしれません。

1. アジャイルテクニック:

バックログマネジメント:
バックログマネジメントは、ほとんどのアジャイルアプローチにおいて、要求の優先順位付けおよび変更管理の両方を処理する主要な方法です。バックログはしばしば、分割された要求をフィーチャーとしてインプリメントされるべき相対的順番に記述するので、ビジネスアナリシス活動を実行する順番の記述として役立つことがあります。いくつかのバックログは、さらに開発サイクルの中で完了されるタスクとして、ビジネスアナリシス活動を含みます。

計画ワークショップ:
ビジネスアナリストは、チーム目標を支援するビジネスアナリシス活動を決定するために計画ワークショップに参加します。

リアルオプション:
リアルオプションの分析は、特定のビジネス問題を調査する必要がある場合に、ビジネスアナリシスをいつ実施するかを決定するのに役に立ちます。

振り返り(リストロペクティブ):
アプローチの選択時に 以前の振り返りのフィードバックを考慮する必要があります。

タスク:ステークホルダー分析を主導する(2.2)

急速で反復的な開発を行うアジャイルプロジェクトにおいて、チームが情報を必要とされるたびに、ステークホルダーが呼び出され、挑戦をうけます。アジャイル開発において、ビジネスアナリストは、このアジャイルなテンポがステークホルダーに与える影響と、進捗的に仕上がる期待への影響を考慮する必要があります。ビジネスアナリストは、次のような質問をする必要がありますプロジェクトの過程において、ステークホルダーは、プロセス、対人コミュニケーション、および製品の仕様の更新に参加することができるだろうか?プロトタイピング及び利害関係者からの頻繁なフィードバックにより、ステークホルダーやステークホルダーグループのニーズについての知識を絞り込むのに役立ちます。

 .1 アジャイルテクニック:

協働ゲーム:
多くの協働的ゲームは、様々なステークホルダーグループの視点を理解するために使用することができます。

ペルソナ:
ペルソナは、アナリストや開発チームを支援してくれ、ステークホルダーグループまたはステーホルダータイプのニーズを見える化し、分かりやすく記述し、ステークホルダータイプに役立つソリューション、そのタイプの潜在的リスク、およびその他の情報から価値を導出する方法を理解することができます。その情報により、チームがプロジェクトに参加したステークホルダー·グループのニーズをより良く理解することができます。

 3.1.3 タスク:ビジネスアナリシスのアクティビティを計画する(2.3)

ビジネスアナリシスの活動は必要に応じて計画されますが、通常はプロジェクトの開始時そして、各イテレーション時に、または新しい作業項目がアナリシスの準備ができたときに、計画されます。ビジネスアナリストは、次のイテレーションの仕事に取り組む準備、プロダクトのビジョンの維持そして発展的な価値の増加、をしなければならないことを常に知っておくべきです。形式的なドキュメンテーションへの焦点は減る傾向にあります(従来の法令による規定の要求を満たすため、または分析および開発プロセス期間中に開発された知識を捕らえるように要求される場合はあります)。一方プロジェクトライフサイクル全体にわたるドキュメントを漸進的に精緻化することによりフォーカスすることになります。さらに、精緻化の多くは対人コミュニケーションとセレモニーに置き換わります。したがって、成果はコミュニケーション計画で対応する活動において実現される必要があります。

 .1 アジャイルテクニック:

計画ワークショップ:
ビジネス分析の活動に関する決定は、通常、計画ワークショップで行われます。

3.1.4 タスク:ビジネスアナリシスのコミュニケーションを計画する(2.4)

開発期間における、要求の公式的コミュニケーションは、一般的にアドホックな非公式ディスカッションとモデリングに置き換えられます。いくつかの成果物は、具体的な対人コミュニケーションやセレモニーに置き換えられます。定義上、これらの対人コミュニケーションやセレモニーには、ビジネスアナリストがリアルタイムで参加することが必須です。公式なドキュメントは、組織によりナレッジの維持を確実にし、規制要求を満たすために、ソフトウェアを開発したのちに策定されるかもしれません。

.1 アジャイルテクニック:

ペルソナ:
これは、アジャイルなアプローチにおける必要なコミュニケーションのためにステイクホルダー・グループのニーズおよび有効性を評価するのに役に立ちます。また、どのようにこのアジャイアルなコミュニケーションを体系化するかにも有益です。

計画ワークショップ:
計画ワークショップは、プロジェクトのコースの至る所でのチームにビジネスアナリシス活動の結果をどのようにデリバリーしコミュニケーションするかに関する決定を含めて、チームをどのように運営するか確定するために、フォーラムとして一般に使用されます。

 タスク:要求マネジメントプロセスを計画する(2.5)

アジャイルアプローチでは、要求マネジメントは、チームが行う新たな仕事は、ステークホルダー及び/またはスポンサーの優先順位と一致し、ビジネスに価値をもたらすこと確実にすることに重点を置いています。アジャイルアプローチは、変化する要求を歓迎することの重要性を強調しています。これは、開発の準備ができている作業項目の順序は、いつでも変更される可能性があることを意味します。

.1 アジャイルテクニック

バックログマネジメント:
ほとんどのアジャイルメソッドは、どの要求が開発チームが作業する準備ができているかを判断するためにバックログマネジメントを使用します。

 

タスク:ビジネスアナリシスのパフォーマンスを管理する(2.6)

この活動はビジネスアナリストが、ステークホルダーと開発チームを効果的に作業するように学習しながら、継続的に実行されます。関係者全員は、価値、ビジネスアナリシスのプロセス、方法、使用中のテクニックをよりよく理解するために協働し、変更の必要性を理解します。ビジネスアナリシスが効果的に実施されれば、要求ドキュメントの作成作業のやり直しが限定され効果的な優先順位付けと要求スコープが明確になり、開発チームに明確なニーズが伝達されます。

.1 アジャイルテクニック

振り返り(Retrospective):
振り返りは、作業方法を改善しようとするアジャイルチームで使用される一般的な方法です。ビジネスアナリストは、いつどのようにチームがプロセスを改善する方法を見つけるために要求が提供されるのか、そのフィードバックを探すべきです。

バリューストリームマッピング:
バリューストリームマッピングは、ビジネスアナリシス活動がどのように顧客に価値の提供に貢献するかをアセスメントし、また価値を付加できない活動を識別する上で有用になります。