イノベート・ジャパン・カンファレンス 2013 12月12日

IIBA日本支部主催 イノベート・ジャパン・カンファレンス 2013 12月12日

~ ビジネスアナリシスで俊敏な経営を創造せよ ~

 

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毎年IIBA日本支部が主催するビジネスアナリシスのカンフェランスです。今年は北米より、BBC2013カンフェランスをIIBAと共同主催した、ビジネス・ルール・ソリューションズ代表のロナルド・ロス氏を招聘して開催されました。

ロス氏は「ビジネス・ルールの父」として著名で、最近注目されているBRMS(ビジネス・ルール・マネジメント・システム)は全て氏のビジネス・ルールの考え方がベースになっています。

 

 

 

 

 

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IIBA日本支部代表理事の川添真智子氏のあいさつです。

 

 

 

 

 

 

 

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いよいよお待ちかねのロン・ロス氏です。

現状のIT部門は情報システム(テクノロジー)にフォーカスしすぎで、ビジネスへのフォーカスが不足していて、ビジネスとITとの間に大きなギャップが生じてしまっている。そのギャップを埋める役割がビジネスアナリストだと信じられてきましたが、それも間違い。ビジネスアナリストの真の役割は「ビジネス価値を提供する」べき。そのビジネス価値はITプロジェクトの前とITプロジェクトの後(運用時)に作られる。

現状のビジネスアナリストの80%はBRD(ビジネス要求ドキュメント(社内用RFP:清水注釈))の作成が主業務になっているがこれは既に時代遅れ。ビジネスとITのギャップを埋める旧い役割でしかない。これから重要になるのはITプロジェクトの前のビジネス戦略、ビジネスプロセス、ビジネスルール、ビジネスボキャブラリ、など。ここでビジネス・ソリューションを改革(イノベート)する役割にならなければいけない。いわば、チェンジ・エージェント、自らが変化を促進する人材。

 

 

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そのビジネス・ソリューションを改革するための重要なテクニック。それがビジネスルールだ。中国の北京への旅行で、サマーパレス(北京市内の有名な大きな公園)にある貸しボート屋のカンバンを紹介する。そこには:

  1. 開園時間: 8:30 - 16:30
  2. 最少貸時間:1時間。10分超過につき1時間の半額徴収。
  3. 料金: 前払い。ボート返却時に精算。
  4. ...

すべて、ビジネスルールが記載されているだけで、プロセスは何も触れてない。すなわち、この貸しボート業務はビジネスルールだけでビジネスが成立している。プロセスはあるかもしれないが、さほど重要ではない。すなわち、ルールは要求の世界に住む第1級の市民だ(ルール独立の原則:ビジネスルール・マニフェスト)。

それだけ重要なルールだが、ルールブックを整備している企業はわずかしかいない。ルールは人と人とのコミュニケーションであり、ITではない。知識経済(Knowledge Economy)ではビジネスコミュニケーションが重要でそのベースはビジネスルール。そのビジネスルールの記述方法はRuleSpeakで英語以外、数か国語で使えるようになっているが、残念ながら日本語は未完成(宗さんが日本語版を作成することになっている)....

 

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グラディス・ラム氏はロン・ロス氏とともにビジネス・ソリョーションズの共同創設者です。

 

 

 

 

 

 

 

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午後の講演のIIBA日本支部研究部会担当理事の宗さん。BABOK第3版の概説です。とはいっても、まだ最終版になっていないので、大きな方向性を示す程度です。

 

 

 

 

 

 

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BABOKはタスクとテクニックでその使い方はユーザーに委ねられているので、いわばツールボックスという位置づけ。というお話です。

 

 

 

 

 

 

 

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続いて、東京海上日動システムズの横塚顧問の講演です。ビジネスアナリシスは業務部門ではなくIT部門がリードしていくという意気込みを聞かせてくれました。

 

 

 

 

 

 

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ビジネスアナリシスのポイントとして、3点上げられています。

  • お客様への価値づくり
  • 「がんばろう」の限界
  • 正義

従来は「製品・サービスを磨いて」いた。つまり問題点を分析し改善するという、企業中心な考え方が強かった。これからは企業中心ではなく、お客様を中心で、お客様への新しい価値を創造した企業のみが成功している。そのための新しい方法論として、

  • お客様中心
  • Try&Feedback
  • 繰り返す

以上、3つの方法が必要。それを可能にするのがデザイン思考という考え方。デザイン思考のプロセスが重要。

「がんばろう」の限界を突破するには、ビジネスプロセスという考え方が必要で、これはビジネス側より圧倒的にSEの方が得意な分野。ビジネスサイドは結局「がんばろう」という事しか言えない。具体的なITの内容は期待できない。ビジネスサイドではビジネスをプロセスとして見ることができなく、情報システムが業務プロセスを見える化(ビジネスアナリシスを)せざるをえない。

最近、日本政府が「世界最先端IT国家創造宣言」等を発表しているので、政治家とも会う機会が増えている。理解されないだろうけど、BAが重要という事を言うようにしている。用語だけでも覚えてくれることを願っている。

以上、横塚氏の講演の要約(清水の勝手な解釈)です。

 

 

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最後はパネルディスカッションです。この中でもロス氏、ラム氏、横塚氏3名ともチェンジエージェントの重要性に合意されていました。