18 得意技を育てる
18.1 ビジネスアナリシスへの適用手法は多岐多様
ビジネスアナリシスはいろんな手法や技術を柔軟に組み合わせて問題解決をする概念ですが、そこで利用できる手法や技術は多様であり、普段ビジネスで利用している方法はすべて利用できます。ビジネスアナリシスは本来最適解を求めるのですが、その手法は多様であり、どれが最適解かは結果をみないとわかりませんから最適解に近いものを選択していることになります。従って、最適な手法や技術はどれかという指摘は困難であると言えます。言い換えれば、どのような手法や技術も、その使い方によって最適解を導き出す可能性を持っているのです。
18.2 すべての手法や技術に通じることは難しい
無数にあると言えるビジネスの手法や技術の総てに通じることは難しいと言えます。そこで考えられるのは自分の得意技を持つことです。 問題の解決においては、その実行プロセスが有りますが、自分の得意とする分野に解決の鍵を集約してそこへ誘導することです。例えば、発生した問題の真実を捉えることに得意な人はその技術を駆使して、真の現象と原因を徹底して解明することです。問題解決の実行プロセスの総てにおいて得意手法があればよいのですがすべてに通じることは難しく、得意な手法において徹底して真実を捉えることの効果を活用する事が効果的でもあります。
18.3 得意技を育てる
誰にも得意な技と不得意な技とがあります。興味あることは、何らかの得意な分野があるとその技術を駆使していろいろな問題解決ができるばかりでなく、その延長上の種々の分野にも影響して得意分野が広がることです。また、得意技を異なる分野に適用することも可能になります。例えば、ビジネスにおける問題解決の重要な能力は人とのコミュニケーションです。コミュニケーションは重要な手法や技術であってコミュニケーションに秀でた人は多くの困難な場面で問題解決ができます。これは、人の心をつかむ技であり、人を納得させる技でもあります。また、大勢の人の意見をまとめる技でもあります。コミュニケーションの技術はあらゆるところは発展してゆきます。 問題の整理をして可視化することが得意な人がいます。複雑な問題を解きほぐして理解が容易な絵にすることができます。多くの指標が絡み合った経営情報を一目で理解できる表現にグラフ化することができます。それにより因果関係が明確になり容易に問題解決につながることがあります。そのような得意技は貴重です。
18.4 問題解決の鍵を見抜く
複雑な問題では何をどうすれば解決できるのかの判断ができない場合が珍しくありません。そのような場合には問題の本質を見つけることが必要です。競争の問題なのか、内部組織の問題なのか、技術の問題なのか、人材や能力の問題なのかなどを見極め、真の原因に絞り込みます。原因が判明すれば解決策の鍵は見えてくるはずです。
18.5 人間性と技術との組合せ
ビジネスの問題は常に人が絡んでいますので、論理や技術だけでは解決できないことが多いのです。 時には手法や技術と離れた心遣いや妥協など人間性に基づく配慮が必要なことがありますl。それも一つの技です。人間性と技術との組み合わせの調和ができた時に最も良い解決ができるのではないでしょうか。
BABOK®ガイドにおける得意技と基礎コンピテンシ
BABOK®ガイドにおいて、得意技に該当するのは数多くあるテクニックと第8章基礎コンピテンシーです。
例えば、引き出しにおいて有効なテクニックとして、下記9つのテクニックが紹介されています。
- ブレーンストーミング
- 文書分析
- フォーカスグループ
- インターフェース分析
- インタビュー
- 観察
- プロトタイピング
- 要求ワークショップ
- 調査とアンケート
その他、第9章には複数タスクで利用できるテクニックが34種類紹介されています。
また、第8章基礎コンピテンシーにはビジネスアナリシスを実践する上で必要な知識、スキル、行動特性があります。
- 分析的思考と問題解決
- 行動特性
- ビジネス知識
- コミュニケーションスキル
- 人間関係のスキル
- ソフトウェアアプリケーション