どこでもビジネスアナリシス (26)

26 ビジネスアナリシスの出発点は問題意識

26.1 自分の状態は今どうなっているか

日常のビジネスの流れの中で常に何かを考えて意識していなければ問題の発見もなく新たな改革も起こりません。運が悪ければ、気が付いた時には大きな問題の深みにはまりこんでしまっているかもしれません。 ビジネスアナリシスの出発点は常に意識をもってビジネスの状態を監視し、何らかの変化を敏感に感じ、必要な判断と行動を起こす習慣です。 まず必要なことは、自分のビジネスの状態と変化を常に意識することです。表面的な状態は何も変わっていなくても、何らかの部分的変化の傾向が現れていることも良くあります。良い変化もあり悪い変化もあります。その両者が相殺して表面では何も見えないこともあります。時には、変化を起こすために何かを仕掛けなければならない状態かもしれません。 いずれにしても常に意識をもって自分の状態が今どうなっているかを監視し、行動を起こす準備をしていることが大切です。

26.2 自分の周りでは何が起こっているか

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自分の状態に何らかの変化が観察されるときには、その原因となる要素があるはずです。それが組織内部にある場合と、組織外部にある場合とがあります。もっと広く市場全体や政治、経済上の影響である場合もあります。自己組織内部の問題も含めて、自分の周りでは何が起こっているのかを意識をもって常に観察する必要があります。発生する問の題解決ではなく、先行する事業戦略の立案や実行においても、周囲環境の状況判断、さらにはその先の予測判断も大切です。このような問題把握の意識的行動はビジネスアナリシスの原点です。

 

26.3 何をしなければならないか

自分の状況と周囲環境の理解の意識と共に重要なのは、そのような現実の中で何をしなければならないかという行動意識を持つことが、ビジネスアナリシスの意識として大切です。その内容の詳細は、実行プロセスの中で逐次検討していくことになりますが、まず何かをしなければならないかという意識を明確に持つことが必要です。当初は具体的行動の詳細は未確定であっても、発生している課題に対して何らかの行動をするという明確な意識を持つことがトリガーとなって問題の解決が始まります。

26.4 明確な意識として整理する

自己組織の現状認識、周囲環境の認識と判断、それらに基づく行動の意識を明確な意識として整理する事がその後の実行における明確な方向を示すためにも必要です。着手時点における問題認識の内容と解決の方向はその後の行動を効果的に決定していくためにも大切な場面で基本的です。解決策の検討において難しい意思決定が求められる場面に遭遇することがありますが、そのような場面で最終的な判断のよりどころになるのは当初の問題理解の意識構成です。当初の方向付けが間違っていれば、解決策の方向も異なった方向に行ってしまいますので間違った回答に導く危険性すらあります。

26.5 何が問題なのかわからないこともある

着手時の認識として何が問題なのかわからないと言う場面もあります。 何かがおかしい、何かをしなければならない、このままでは業績が悪化し続ける、だが何が問題なのか、何をすればよいのかわからないと言う場面です。このような場面で重要なのは、問題を解決しようとする強い意識であり、その意識があれば、問題の実態の理解や解決方法などは、ビジネスアナリシスのプロセスや手法により逐次明確にしていくことが可能です。

 

 

BABOKガイド V3の 知識エリア「ストラテジーアナリシス」 との関係

本日のテーマは今連載で解説しているBABOK V3 の知識エリア「ストラテジーアナリシス」の基本的考え方です。

具体的には「現状の状態を分析する」タスクの内容をやさしく表現したものです。

6.1 タスク: 現在の状態を分析する:

  • ビジネスニーズ、およびエンタープライズが現在、ビジネスニーズに関してどう機能するかを理解する。変革のためにベースラインとコンテキストをセットする。

詳しくは 知識エリア:【ストラテジーアナリシス】 の解説をご覧ください。