どこでもビジネスアナリシス (35)

35 真実をどうやって引きだすか

35.1 多角的に異なる視点からみる

ビジネスアナリシスは現在の状況を正しく捉えることから始まります。自分たちの経営状況、それを取り巻く環境、抱える問題点、外部の人たちの評価、関連する人たちの期待や要望、などその視点は多岐にわたりますが、いずれの視点においてもその情報は正しくなければなりません。また、それらの内容が正しいだけではなく、一部の情報だけであったり、何かの選別にかけられた情報だけであったり、特定の人たちの意見だけであっては正しい判断ができません。また、本当の現場の意見など、対象とする課題に対して関係するあらゆる視点から情報を引きだすことが必要です。

35.2 本音を掴む

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情報にはいろいろなレベルがあります。 概念的な情報、公式情報、経営トップからの指示としての情報、規格や基準、計画情報、事業業績の数値や指標情報、議論のための意見としての情報、統計数値、経済指標、噂、等々無限とも思われる情報があります。今、何かの問題を解決するために必要な情報の中で最も重要な情報の一つに当事者たちの本当の情報があります。ところがこれらの情報は必ずしも整理されていないばかりか、場合によってはかなり抽象的、概念的であることがあります。情報の収集で最も難しいのはこのような非定型な情報の真の意味を捉えること、即ち本音を掴むことです。 情報発信者の表現能力に依存することもありますが、情報収集者の能力が大きく影響します。情報の真の意味を捉えることができるかどうかです。

35.3 裏から見る、裏を読む

情報には表面と裏があることがあります。表面と裏の関係は多様です。本当はこうだと言うのが裏だとしますと、表面は正しく要約された概要、要点だけを纏めた表現、表現を和らげた内容、過度な表現、遠回しの表現、逆説的表現、駆け引きの表現、反応を見る情報、真実を隠すための情報、などなどいろんな形があります。このいずれなのかを判断することが必要なのですが、情報発信源のこれまでの行動や発言をトレースすることによりある程度の想定はつくものです。それらの情報を裏付ける他の情報を取得することが好ましいと言えます。どうも真実ではないという想定はついても、真実は何なのかということを掴むことはさらに追及が必要です。

35.4 同調して真実に誘導する

情報の重要な取得源に対話があります。相手は何を訴えたいのかを掴むことが必要ですが、それが真実とずれていることが感じられることが良くあります。まずは相手の主張を聴き、相手に同調して納得しながら矛盾を見つけるための関連する議論に誘導して論理の弱点を探します。その時に自分が周囲の関連情報を持っていれば役立ちますし、論理構成の矛盾を見つけるスキルが役立ちます。

35.5 真実を引きだすのも人と人の関係

情報の多くは人によって作られますから、同じ表現であってもその真の意味は大きく異なることがあることは珍しくありません。本当の情報の意味を引きだすのは情報をつくった人と受け取る人との関係に依存するところが大きいのです。特に対話をしながら確認していく作業においてはそれが顕著で、そこには相互の理解や信頼関係も影響しますが、定量的な情報であってもその定義には微妙な差があり、それによって結果が左右されます。 相手が何を考え、それをどのような表現で発信したかを理解することが真実を読み取る基本となります。