どこでもビジネスアナリシス (37)

37 再度確認する習慣

37.1 総ての前提条件を疑ってみる

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ビジネスのいろいろな行動においては基本となる目標やその実行条件を設定して、それに対して実行計画を立て具体的行動を推進します。 この一連のプロセスにおいて、前提条件が正しくなければ、誤った方向へ向いて行動していることになり、その結果は作業の進捗に伴い本来の目的と乖離していくことになります。基本的な条件は開始点における方向づけが最も大切ですが、作業の進捗にともない環境条件が変化していくことも多く、常に一定であるとは限りません。言い換えれば常に現状を確認しながら軌道修正が必要といえます。ビジネス環境の変化は常にありますが、実行体制の内部変化も多く発生します。出発点の条件の再確認と共に、常に現状を疑って実行過程における変更の要否の確認を試みることは、実行プロセスの効率化や完成時点での不整合を避けるためにも必ず実行したいものです。

37.2 それは本当だろうか

ビジネスの多くではいちど実行計画を作成すると、それが絶対的権威を持ってしまう傾向が見られます。ビジネス環境は生き物のように常に動いています。突然方向が変わえることもあります。計画時点で将来の変化予測を十分にした上での立案でも予測の立たない変化は常に起こります。実行過程で、「それは、今でも 本当だろうか」といういろんな疑問が生じます。そのような疑問をいつも持ちながら環境変化への対応を考えることはたいへん価値のあることです。推進の途中で、基本条件の何かが現状に合っていないことが判明することもあります。そのような場合に思い切って基本条件を修正する勇気も必要です。つねに本当だろうかという疑問と確認の意識をもって実行するならば、完成時の現実との不整合は最小限に抑えることができるはずです。

37.3 つじつまが合わない

経験が豊富になり、ビジネスの全体が見えるようになりますと、業務上でも、システム上でも、何かおかしいと感じることが良くあります。現在では多くの情報が測定され分析されていますので何らかの指標がどこかに現れているかもしれません。 ビッグデータ処理技術の発達により思いもよらない状況が発見される可能性もあります。 これらの分析技術などの発達は目覚ましいものがありますが、豊富な経験を背景とした人たちの問題の発見能力はそれを上回る効果を示すことがあります。 技術的な方法は対象が明確な場合には詳細に監視できますが、不特定なあらゆる現象を捉えるためには、経験あるマネジメントによる判断は、まだ多くの判断を提供することができます。何かつじつまが合わないと言うところから詳細な分析に進めることも大切プロセスです。

37.4 プラス効果とマイナス効果

ビジネスでは個別な現象が複雑に関係しあって構築されていますので、どこかで発生した現象が、思いもよらないところで影響を与えていることは珍しくありません。発生した現象が、あるところではプラスに、他のところではマイナスの効果を与えることは常に起こります。例えば自国通貨の為替レートの低下は、製品の輸出事業者には外国で売り易くなる一方、輸入材料に頼っている事業者は資材の高騰から原価高に見舞われます。マクロにみれば給与が上がれば人件費原価が高くなりますが、社会の購買力が強くなり製品が売れることになります。 一つの企業の中ではもっとミクロなレベルで同様な現象が複雑に組み合わさっていて、それらの個々の問題解決がビジネスにおける変革の個別要素になっています。解決を必要とするビジネス上の課題は、そのどこかにこのような正負の効果を併せ持つ問題点があるはずで、それを見つけることは問題解決のひとつの鍵です。