どこでもビジネスアナリシス (38)

38 それは本当だろうか

38.1 真実を捉えているか

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現在のビジネスの基礎は情報です。 ビジネス上のほとんどのことは情報により理解され、分析され、判断され、実行されています。 従ってビジネスで最も重要なのは情報の品質と信頼性です。 情報の発信源は多岐にわたります。単なる噂から公式な発表まで千差万別です。そのどちらが重要かといえばその場における情報の必要性と、ビジネスへのインパクトに依存します。単なる噂でも後に非常に大きな影響を与えるものがあり、無視できない場合も少なくありません。火のないところに煙は立たないといわれる通り何らかの情報の火種があります。 どのような情報であっても、それが真実を捉えているかどうかが最も大切なことです。その判断は難しいのですが、多くは、発信者は誰か、どのようなプロセスで作られたか、どのようなルートで流れてきたかを知ればかなりの真偽の判断の根拠になります。 情報は真実を捉えているかがその後の判断を決定づけます。 

38.2 何かおかしくないか

人間には感が働きます。多量の情報の分析によっていろいろな情報が提供される現在では人間の「感」を論じると笑われるかもしれませんが、人の経験に基づく「感」は役立つことは少なくありません。何かおかしくないかという判断は感じる人の自組織の状態、周囲の環境、などの観測を経験に基づき本能的に判断している結果であって、非常に多くの知識による総合的、瞬間的判断であり、決して非科学的な占いではありません。 特に、これまでの経緯、変化、関係、状態、などを考え併せてみると何かつじつまが合わないことを感じたり、変化や危険を察知したりすることがあります。言い換えれば、いつも「何かおかしくないか」という視点で観察し、判断する習慣を身に着けることは大切です。 おかしいと感じたならば、具体的に分析を試み、確認すればよいのです。 

38.3 先入観、思い込みはないか

ビジネス上の判断で気を付けなければならないのは、先入観や思い込みです。特に、こうしたいと言う思いが強い場合にはその方向に判断が誘導されます。 達成意欲に基づいて、積極的な実行方策を組み立てることは必要ですが、その基礎となる客観情勢の判断は冷静でなければなりません。むしろ慎重であることが必要です。可能性のあるリスクをも想定し、それらへの対応策の理解と判断が必要です。目的を達成するための方法は一つではなく、多様なアプローチがあることを理解して、自分達が考えている方法はその中のひとつにすぎない、さらに良い方法があるのではないかという発想をもって、冷静な判断に基づき、積極的かつ行動的な実行策を構築することが最も望まれるアプローチです。また、誰かの言動に誘導されて飛びついた実行の判断ではないかという確認も必要です。自分達の意志で本当に必要な目的と行動を選択したという認識が基本となります。

38.5 過信をしていないか、本当にできるのだろうか

ビジネスの革新を実現するためには積極的な計画と行動がその基本として必要です。 組織における行動の実現は組織を構成する人々の協力と行動がなければ実現することは不可能であることを認識し理解しなければなりません。そのためには組織の力としての実行能力を客観的に評価判定することが必要であって、計画者や組織全体の過信がないかの判断が必要です。実行能力には、組織における実行内容の認識や理解、知識、人材、種々の資源、資金、コスト負担、時間的余裕、そして最後に組織の行動力などの総てを含みます。本当に実行できるだろうかという判断に基づき、必要な教育や人的な補填、あるいは外部組織の活用などの計画をして最終的な実行可能の確認が必要です。 途中で挫折することは絶対に避けなければなりません。