どこでもビジネスアナリシス (41)

41 常識は本当に常識だろうか

41.1 知っていることと知らないこと

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「それは常識だ」といわれることがよくあります。常識とは何でしょうか。人間としての常識、社会人としての常識、ビジネス常識、文化的常識、普遍的常識、倫理的常識、習慣的常識、地域の常識、などいろんな視点から見た常識があります。 組織固有の常識もあり、明記された常識があり、暗黙的な常識もあります。伝統や習慣に基づく常識は多くあります。常識とは守らなければいけないのかという疑問もあります。守る、守らないとは関係なく存在するのかもしれません。変わらない常識と変わる常識とがあります。辞書によりますと、常識とは「ある社会で,人々の間に広く承認され,当然もっているはずの知識や判断力。」(大辞林)、「普通、一般人が持ち、また、もっているべき知識、専門的知識ではない。一般的知識と共に、理解力・判断力、思慮分別などを含む。」(広辞苑)などの説明があります。 関係する領域にいる人にとっては持っていなければいけない知識であるようです。 「関係する領域」と限定したのは、常識とはすべてに普遍ではないからです。関係する領域に居ながら、知らない常識が多いと、“あの人は常識がない“といわれる原因になるようです。

41.2 常識は組織、地域、領域、時間によってさまざま

ビジネスにおいても常識といわれることは多々あります。 しかも、組織によって異なるものも多く、場合によっては相反する内容であることさえあります。それらの多くは、過去の経験に基づく判断や行動の結果、失敗の反省によるやってはいけないことの警告、守るべきルールであったりします。業界や組織によって、それぞれの経験や歴史的背景が異なりますので、常識とされることが異なります。 常識といっても、単なる習慣や警告に近い軽いものから厳格に守るべき規則のようなものまでその範囲は広く、守らない場合の影響もさまざまです。ビジネス環境が変化しますと時間と共に考え方が大きく変化し、いろいろなビジネスの常識が生まれますが、それらの多くはこれまでの常識を超えたアイデアに基づく発想もあります。

41.3 常識はいつも正しいだろうか

ビジネスにおける戦略の構築、意思決定、実行方法、などにも常識といわれるものは多くありますが、判断の基準として考えられている常識には、無意識に受け入れているものが多々あります。 普遍的な常識は多くありますが、常識には設定された環境があり、その時点の判断背景があります。時間の経過と共にそれらの環境や背景は変化しています。 それらを忘れて、ただ常識だと信じて従っていることも少なくないでしょう。そのような意識の中からは変革は生まれません。常識はいつも変わっていくものだという理解が必要です。 何かおかしいと感じる常識が多々あるはずです。 それらをどんどん壊して、新しい常識に作り変えていくことが必要です。

41.4 常識の裏をかく

常識という壁にぶつかって先に進めない課題が良くあります。その時にその壁がなければ何ができるのかということを考えるのが変革の第一歩です。 壁の裏になにがあるのかを見ることにより新しい発見があります。他の人たちが気付かない、あるいはやってはいけないと諦めている手段やアイデアが山積されているかもしれません。ダメといわれる境界を越えると何ができるのか、反対のことをするとどんな効果があるのか、という常識の裏を考えることは大切です。 ただ、常識には何らかの理由があるはずですから、それらの理由を乗り越える裏付けのストーリーを持つことが必要です。 やみくもに裏をかくことではなく、戦略をもって常識を破ることにより、新たな視界が開けます。