どこでもビジネスアナリシス (44)

44 理解とは何か

44.1 同じ情報や現象でも人によって理解は異なる

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「理解」はビジネスアナリシスの原点であると先に述べましたが、理解とは何かを考えてみたいと思います。広辞苑によれば「理解」とは、「①物事の道理をさとり知ること。意味を飲み込むこと。物事がわかること。了解。」、「②人の立場や気持ちが良くわかること」とあります。理解される実態はそれ自体客観的なものであっても、その理解は受け取る人の状態や環境、あるいは思想や意思によって、さまざまな解釈がされます。従って、ビジネスアナリシスの実行において例えば現状を理解すると言う場面では、現状を見る人の意識により異なる理解が生まれる可能性が頻繁に起こります。例えば、現在の市場環境を二人の人に観察してもらえば、二つの異なる報告が返ってくることは少なくありません。その時二つの報告が、表現が異なっていても同じことを言っているのか、あるいは違う判断をしているのかの見極めが必要です。

44.2 どのような視点から理解するか

状況や意見を理解するときには理解の視点によりその結果が異なります。自分の興味のある視点、得意な分野からの視点、意図を持った方角からの視点、事前の情報による角度からの視点、過去の経験からの視点、などその要素はいろいろとあります。できる限りの客観性が求められますが。客観的と思っている視点自体にバイアスがかかっていることがあります。現状の認識などは入手できる公式な報告を参照することは誰もが実施する手順ですが、それらから得られる情報が同じであっても、その解釈が異なることで理解は同じであるとは限りません。このように、理解では、理解するための情報とその解釈との二つの視点により種々な理解が生まれます。

44.3 目的にあった理解をする

どのような視点から理解すればよいかは難しい問題です。当事者は自分の理解は正しいと思っているからです。周囲環境の調査や人びとの意見の聴取などは何らかの目的があって実行するはずです。その目的にはどのような課題のどのような視点からの理解が必要なのかという事前の意識をもって情報を集め、かつ理解することが必要です。目的の解決につながることに重点を置き、それに対して異なる視点からの複数の分析や解釈をもって理解とすることが望ましいと思います。理解というのは、一つの絶対的なものではなく、何らかの条件のもとに正しいと考えることが良いでしょう。課題に対して自分が当事者である場合には、自分の考えに近い意見には甘く、相反する意見に対しては厳しく理解しようとする心理が働きますが、むしろ反対意見に対しての理解を深めることの方が重要であることを認識するべきでしょう。

44.4 何をしなければならないかの理解

理解は何かの対象や内容に対する認識が一般的ですが、ビジネスアナリシスで重要なのは実施状況や実行プロセスに関する理解も必要です。何らかの問題解決を目標とした場合に、そこへ至るプロセス計画の妥当性、現在まで実施してきた手順の確認、関係者や組織の確認、実行判断の妥当性などに対する理解が基礎になります。これまで実施してきた内容を確認すると同時に、その意味を認識して反省がないかを考え、次の段階では何をしなければならないかを考えなければなりません、ビジネスアナリシスにおける理解とは現状における実行内容を確認し、その意味を判断し、自分の中で認識し了解する事であると同時に、それらに基づき次に何をしなければならないかの判断をすることであると考えてはどうでしょう。 単に情報や現象を知ることだけではなく、その背景にある深い意味や物事の道理をさとり知ることが大切です。