9.2 行動特性 (追加)
- 行動特性はビジネスアナリシスに特有なものではない。しかし、ビジネスアナリシス実践における個人の有効性を向上させるものと判明している。行動特性はすべてのビジネスアナリストのスキル・セットの核心的存在である。ここで記述される行動特性の各々は、実践者の努力の結果に大きな影響を与える。
- 行動特性のコアコンピタンスは、ビジネスアナリストがステークホルダーの信頼および尊敬を獲得することを可能にするスキルと行動が中心である。そのため、ビジネスアナリストは、倫理的に一貫した行動をし、時間通りに期待に見合うタスクを完了し、効率的に質の高い結果を提供し、ニーズと状況の変化に適応的に対応する。
- 行動特性のコアコンピタンスは以下の通り:
・倫理
・個人的アカウンタビリティ
・信頼感
・仕事の整理とタイムマネジメント
・適応性
行動特性はビジネスアナリストとしての根本的に要求される行動・態度をまとめてあります。当たり前のことのようですが、一つ一つ味わってお読みいただきたいと思います。今回は以前(2014年7月)取り上げられなかった、「倫理」と「信頼感」を解説します。
「個人的アカウンタビリティ」と「適応性」は下記URLのWebページの解説を参照ください。
http://kbmanagement.biz/?p=2104
9.2.1 倫理
.1 目的
- 倫理的に行動し他の人への倫理的影響を考慮すれば、ビジネスアナリストがステークホルダーの尊敬を得ることが可能になる。提案ソリューションまたは要求が、組織またはそのステークホルダーに倫理的な問題をもたらすことを認識する能力があれば、ビジネスアナリストがリスクの露呈の減少を支援することを考察する際に大いに役に立つ。
.2 定義
- 倫理はビジネスアナリシスの活動と関係を通じて公平、配慮、道徳的行為への理解と注目を要求する。倫理的行動は、提案ソリューションがすべてのステークホルダー・グループへの影響を配慮しそのグループができる限り公平に扱われることを確実にするように仕事をすることを含む。公平な扱いは、結果が特定のステークホルダー・グループに有益なことを要求するのではなく、影響を受けるステークホルダー全員が意思決定の理由を理解することを要求する。倫理的課題を認識していれば、ビジネスアナリストは倫理的ジレンマがいつ生じるかを特定でき、またそのジレンマに対する解決策を推奨することができる。
.3 有効性の評価基準
- 有効的な倫理的ビジネスアナリストの評価基準
・倫理的ジレンマの迅速な特定とその解決
・ステークホルダーはその意思決定とアクションが透明で、公平と感じている
・すべてのステークホルダーの利益を配慮して意思決定されている
・意思決定の理由は明白に明瞭に表現され理解されている
・潜在的な利害の衝突は、速やかに完全に解決されている
・人の能力、人の仕事のパフォーマンス、失敗またはエラーの責任を受容することに関して正直である
9.2.3 信頼感
.1 目的
- ステークホルダーから信頼されることは、ビジネスアナリストが微妙な問題に関するビジネスアナリシス情報を引き出し、かつステークホルダーがビジネスアナリストの推奨事項が適切に公正に評価されているという確信を持つことを支援する。
.2 概説
- 信頼感とは、人が信頼するのにふさわしい、という認識である。信頼できると思われるビジネスアナリストは、多くのステークホルダーが経験する変革に対する自然な抵抗を和らげてくれる。
- 信頼できると思われる要因:
・一貫して意図的にタスクと成果物を時間通りに、予算内に、予期された結果を達成する。その結果、同僚やステークホルダーはビジネスアナリストの行動を頼りにし、真面目だと思う
・一貫して確信している態度を示しているので、同僚やステークホルダーはビジネスアナリストの姿勢に強さを感じる
・正直で真直ぐなやり方で活動し、意見の食い違いや懸案事項に直ちに対処している、その結果、同僚とステークホルダーは、ビジネスアナリストのモラルは正直で透明性が高い思う
・長期間にわたり一貫したスケジュールを維持している。その結果、同僚とステークホルダーはビジネスアナリストの予定が予測可能で信頼できると思う
.3 有効性の評価基準
- 有効的な信頼感の評価基準:
・ステークホルダーが議論と意思決定にビジネスアナリストを参加させる
・ステークホルダーは問題と懸案事項をビジネスアナリストに持ち込む
・ステークホルダーは困難か論争の的になっているトピックについて、喜んでビジネスアナリストと議論する
・問題が発生しても、ステークホルダーはビジネスアナリストを非難しない
・ステークホルダーはビジネスアナリストの考えと紹介者を尊重する
・ステークホルダーは肯定的意見のビジネスアナリストの紹介者に応対する
「倫理」と「信頼感」は行動ができていなければ意味がありません。どんなに高度な分析手法をマスターしていても、ステークホルダーから信頼されていない限りビジネスアナリシスは実践できません。ステークホルダーから「あの人が言うのだから大丈夫だ。やってみよう。」と思ってもらえることが重要です。最後の有効性の判断基準も一つ一つ意味が深いものです。「問題が発生しても、ステークホルダーはビジネスアナリストを非難しない」。ぜひそうなりたいものです。