どこでもビジネスアナリシス (45)

45 既存のシステムを大切に

45.1 新たなものを作る前に現状の確認を

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改革や革新というとすぐに新しい発想に基づく新たなモデルを考えようと言う議論になりますが、現在使われている既存のシステム・・・これには情報システムだけではなく経営システムそのものを含みますが・・・、どのように活用され、実行されているのかを確認してみることが必要です。すでにあるシステムの中で何が効果を上げ、何が実行されないままになっているのか、あるいは実行したが効果が出なかったかの棚卸しをしてみると、有効な方法や機能が使われないまま放置され、眠っていることがわかります。その中には、システムの使い方を変えるだけで大きな効果が期待できるものが多々見つかることでしょう。 そのような状態で、新たなシステムの開発をしても同じ結果になる可能性は高いと言えます。既存のシステムを活用すれば新たな投資の必要もなく、短時間で新たな試行ができるはずです。改革は入れ物をつくることではなくどう実行するかという中味なのです。システムではなく、システムをどう使うかなのです。

45.2 既存システムの評価と取捨選択

改革や革新の行動にはその議論の基になった要因があるはずです。改革プロジェクトの議論では設定した目標に向かって何をするべきかの議論が主流を占め、現在何がどう悪いのかという現状認識の議論が忘れられる傾向があります。現在のシステムの何が良く、何が悪いのかの分析と判断がまず必要です。その中には決められたことをしていない、決められた通りにやっていない、決められたシステムを活用していないと言う項目が必ずあります。現在のシステムが悪いのではなく、決められたことが実行されていないことに問題の原因があります、現在のシステムを作った時に今と同様の議論をして、その解決方法を決めたのではないでしょうか。現在のシステムを構成する機能や方法の実行状況とその成果を評価して、取捨選択の上新たに設定された目標を達成するために足りないものを補完すると言うアプローチは大切です。発想を変えて総てを作り直す前に、既存方法の評価によりその部分を取捨選択して活性化する事により容易に新たな改革を実現できることは多々あります。

45.3 現行システムの何が悪いのか

現在のシステムの効果が生まれない時には何が悪いのかという分析により欠点を明確にし、それらを削除していくことが必要です。目標が正しく、その達成へのアプローチの概念が間違っていなければ、その実行システムに何らかの問題があるはずです。誰もが理解できる概念になっているか、容易に実行できるだろうか、実行する環境は整備されているだろうか、実行を妨げる要因はないだろうか、過度な負荷や負担がかかることはないであろうか、特別な能力や知識を必要としないだろうか、実行のためのトレーニングは必要ではないだろうか、などを評価して実行の障害要因を明確にして問題点を排除することにより目標を実現できるはずです。

45.4 目標を絞って単純に

新たな改革やシステムの導入においては、多くのことを実現しようと計画に盛り込む傾向があります、一度に多くのことを実現したいと言う心理はわかりますが、重要な改革をしようとするときに一度に多くの目標を設け、多くの機能を実現しようとすると、その内容が複雑になり焦点が不明確になるばかりか実行の困難性も増します。最も重要な事項に目標を絞って計画を単純にすることによって実行内容も簡素になり、早期の実現が可能になります。規模が大きく複雑になった場合には全体計画を段階に分けて、各段階で成果が確認できるような構造化をはかることは有効です。ここでも既存のシステムを基盤として段階的に改革を重ねていくことは効果的です。