カンフェランス全体像
全体として、世界31ヵ国より1500人の参加者が集まりました。当然過去最大のイベントとなったのは当然です。さらにその内容が素晴らしく、充実しているのが特長です。
キーノート数: 4
- ワークショップ数:24
- セッション数: 120
特にセッションの内容が素晴らしく、世界各地でのビジネスアナリシスの成功事例が発表されています。エレベータであったのは、南アフリカからの参加者。ラスベガスまで約24時間(フランスのパリ経由)かけて参加しています。また、セッションでも南アフリカのFaculty Training InstituteのCEOが発表していました。ブラジルの企業、ニュージーランド、オランダ、トルコ、カナダからもあります。まさに、ビジネスアナリシスのグローバルスタンダードにふさわしい内容です。
また、企業内事例(公共を含めて)も多くあります。企業名だけですが。
- TDバンク
- ファイザー
- エンブレア・ディフェンス&セキュリティ
- インランド・レベニュー・ニュージーランド
- ノードストローム
- バンク・オブ・ハワイ
- マイクロソフト
- Unum(生命保険)
- シェル石油
- MMGインシュランス
- 北カリフォルニア電力エージェンシー
- マヨ・クリニック
- アクサ・エクィッタブル
- オランダ教育省
- Old Dominion大学
- フィディリティ・インベストメント
- eBay
- サウジFood and Drug Authority
など。極めて多彩な企業、国がビジネスアナリシスを実践していることがわかります。
早く、日本からも発表したいものです。
BABOK関連
IIBAは3つのチュートリアルを実施しました。
- ビジネスアナリシスを再定義する6つの主要コンセプト:(ジュリアン・サミー)
- 実践的BABOKガイド:V3を活用しビジネスアナリシスを改善する(ケビン・ブレナン)
- ビジネスアナリシス実践に変革を実現する(アンジェラ・ウィック)
セッション:
- イノベーションを実現するツールボックスの中身(アンジェラ・ウィック)
ツールボックスの中身の紹介です。コラボレーションゲームにもいろいろあります(スライド左)。共感マップの解説(スライド右)です。
アンジェラは交換留学生として、大阪の茨木に滞在したことがあるそうです。
その他多くのセッションがあります。
ビジネスルール関連
チュートリアルが2つありました。
- ビジネスルールの捕捉と分析
- 意思決定と意思決定ロジックのモデリング
ロン・ロスとグラディス・ラムによる講義です。初日のレポートをご覧ください。 BBCカンフェランス2013 レポート (1)
セッションでは、各国からの成功事例が多く目につきます。
・カナダ、ニュージーランド、ブラジル、その他
上図はOnline Health社の導入事例です。ビジネスルールの使用前(左)、使用後(右)がよくわかります。
USでは、このように医療分野でのビジネスルールの使用が増えています。
ビジネスプロセス関連
日本でのBPMとは相当イメージが異なりました。一言で言うとまさに、「戦略的BPM」です。日本のBPMに最も欠けている点ではないでしょうか。
- エンタープライズレベル(ビジネス戦略)
- ビジネスプロセスレベル
- インプリメンテーションレベル(人とIT)
上記3つのレベルが階層化されて、すべてビジネス戦略につながります。
BABOKの要求の分類(ビジネス要求、ステークホルダー要求、ソリューション要求)にぴったり対応しているのがわかります。
これなら、プロセス改善がビジネス結果につながります。言い換えると、ビジネス結果に結びつくビジネスプロセスをどう見つけるかがポイントです。単に身の回りのプロセスを改善しても、経営数字に貢献できません。
BPMとBPMSは異なります。BPMSはBPMをITにより具体化するツール(ソフトウェア)です。日本ではBPMS(ツール)ベンダーが自分のツールを売り込むためにBPMを宣伝しているように見受けられますが、本場の北米ではBPMそのものの教育、コンサルティングを重要視しているようです。
また、ビジネスプロセス・マニフェストなるものがあることも初めて知りました。
なんと、すでに13か国語に翻訳されています。実物は下記URLのWebページよりダウンロードできます。
URL: http://www.bptrends.com/resources/bp-manifesto/
早く日本語化されることを期待します。
【すでに日本語化されました。画像のクリックで日本語版がダウンロードできます。】
アジャイル開発
北米では、ソフトウェア開発の主流となりました。
セッションテーマだけ紹介します。
- アジャイルディスカバリー・ワークショップ
- BAの観点での、アジャイルとウォーターフォールの混合(ブレンディング)
- アジャイルでの分析:ユーザーストーリー以上のモノ
- ウォーターフォールからアジャイルへのビジネスアナリシスの適応
- アジャイル要求:ガバナンスとアジリティとのバランス
- アジャイルへの抵抗:なぜBAが必ず参画しなければいけないか
- アジャイルプロジェクトで、なぜ380万ドルの収益をもたらすことができたのか(トルコの通信会社)
すべて魅力的なセッションで、選択するのに困ってしまいます。
トルコの通信会社の事例です。アジャイルプロジェクトによって会社に380万ドルの収益をもたらせたそうです。
アジャイル関連のセッションの共通の特徴です。参加者がやはり若い。そして女性が多く目立ちます。
アジャイル以外でも女性の発表者が多いことに気が付きます。ビジネスアナリストは女性が向いているのかもしれません。引き出しに不可欠なのは共感の能力(スキル)です。これは確かに女性の方が向いているかもしれません。ただ、それだけではないと思いますが。